最高裁判所第一小法廷 昭和56(し)141 決定
主 文
本件抗告を棄却する。
理 由
本件抗告の趣意のうち、判例違反をいう点は、所論引用の判例は、即時抗告審係
属中に執行猶予期間が経過した場合に関するもので、本件とは事案を異にし、その
余は、違憲をいう点を含め、実質において刑訴法四一一条一号、五号の事由がある
と主張するにすぎないものであつて、いずれも同法四三三条の抗告理由にあたらな
い。
なお、本件においては、刑の執行猶予言渡の取消決定に対する即時抗告棄却決定
が執行猶予期間経過前に申立人に告知されたことにより、執行猶予取消の効果が発
生しているので、その後、特別抗告提起期間中に、執行猶予期間に相当する期間が
経過したことは、原決定を取り消すべき事由とはならない(最高裁昭和四〇年(し)
第二一号同年九月八日大法廷決定・刑集一九巻六号六三六頁、同昭和五四年(し)
第二九号同年三月二九日第一小法廷決定・刑集三三巻二号一六五頁参照)。
よつて、刑訴法四三四条、四二六条一項により、主文のとおり決定する。
この決定は、裁判官団藤重光の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見によ
るものである。
裁判官団藤重光の反対意見は、次のとおりである。
本件においては、原決定の告知があつた昭和五六年一〇月一二日には本件執行猶
予期間は満了していなかつたのであるが、特別抗告提起期間中である同月一三日の
経過とともに右猶予期間が満了したのであるから、私見によれば、この時点におい
て本件刑の言渡は失効したものとみるべきことになる(最高裁昭和五四年(し)第
二九号同年三月二九日第一小法廷決定・刑集三三巻二号一六五頁におけるわたくし
の反対意見参照)。したがつて、わたくしは原決定を取り消すべきものと考える。
- 1 -
昭和五六年一一月五日
最高裁判所第一法廷
裁判長裁判官 団 藤 重 光
裁判官 藤 崎 萬 里
裁判官 本 山 亨
裁判官 中 村 治 朗
裁判官 谷 口 正 孝
- 2 -