大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和57(あ)1635 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人中下裕子の上告趣意第一点は、憲法三八条一項違反をいうが、交通事故が

発生した場合において、第三者から速かに事故報告がされて、負傷者が救護され、

かつ、交通秩序も回復され、道路上の危険も存在しないため、警察官においてそれ

以上の措置をとる必要がないように思われる場合でも、なお交通事故を起した車両

等の運転者は、道路交通法七二条一項後段のいわゆる報告義務を免れるものではな

いと解すべきであり、このように解しても憲法三八条一項に違反しないことは、当

裁判所の判例(昭和三五年(あ)第六三六号同三七年五月二日大法廷判決・刑集一

六巻五号四九五頁、昭和四六年(あ)第一八二二号同四八年三月一五日第一小法廷

判決・刑集二七巻二号一〇〇頁、昭和四七年(あ)第一一一〇号同四八年一二月二

一日第二小法廷判決・刑集二七巻一一号一四六一頁参照)の趣旨に徴して明らかで

あるから、同条項違反をいう所論は理由がない。同第二点は、量刑不当の主張であ

つて、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。

被告人本人の上告趣意は、量刑不当の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由

にあたらない。

よつて、同法四〇八条、一八一条一項但書により、裁判官全員一致の意見で、主

文のとおり判決する。

昭和五八年五月二六日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 団 藤 重 光

裁判官 藤 崎 萬 里

裁判官 中 村 治 朗

- 1 -

裁判官 谷 口 正 孝

裁判官 和 田 誠 一

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!