大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和62(あ)226 判決

主 文

原判決中「当審における未決勾留日数中一七〇日を原判決の刑に算入す

る。」との部分を破棄する。

その余の部分に対する本件各上告を棄却する。

理 由

検察官の上告趣意について

記録によれば、被告人は、第一審判決判示第三の強盗の事実につき起訴前である

昭和五九年一二月二九日勾留状の執行を受け、その後第一、二審を通じて勾留を継

続されていたものであるが、その間、第一審は、昭和六一年六月九日「被告人を懲

役七年に処する。昭和六〇年三月一一日付公訴事実中別表番号6の窃盗の点につき、

被告人は無罪。」との判決を言い渡し、これに対し被告人が昭和六一年六月一〇日

控訴を申立てたところ、原審は、昭和六二年一月二七日、右控訴を棄却するととも

に、「当審における未決勾留日数中一七〇日を原判決の刑に算入する。」との判決

を言い渡したことが明らかである。また、記録によれば、被告人は、昭和四〇年七

月二一日福島地方裁判所会津若松支部において、強盗致死等の事実により、無期懲

役の判決言渡しを受け、同判決は昭和四一年一一月八日確定し、同日から右刑の執

行を受け始めたものであるが、昭和五六年五月二八日仮出獄を許され、残刑は執行

されなかつたところ、本件被告事件が第一審に係属中の昭和六〇年三月一九日仮出

獄を取り消され、同月二二日から右残刑につき執行が開始され、原審の判決言渡し

当時いまだ右刑につき受刑中であつたことが認められる。

そうすると、被告人に対する本件の原審における未決勾留の全期間が右刑の執行

と重複することが明らかであり、原判決中原審における未決勾留日数を本刑に算入

した部分は、刑法二一条の適用について、所論引用の当裁判所の判例(昭和二九年

(あ)第三八九号同三二年一二月二五日大法廷判決・刑集一一巻一四号三三七七頁、

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同五五年(あ)第四〇九号同年七月一八日第二小法廷判決・裁判集刑事二一八号二

六三頁、同五六年(あ)第一七四八号同五七年五月七日第二小法廷判決・裁判集刑

事二二七号三〇三頁、同五九年(あ)第二七号同年三月二九日第一小法廷判決・裁

判集刑事二三六号四二九頁)と相反する判断をしたものといわなければならない。

論旨は理由がある。

なお、原判決中その余の部分に対する検察官の上告は、上告趣意としてなんらの

主張がなく、したがつて、その理由がないことに帰する。

弁護人吉村浩の上告趣意について

所論のうち、憲法三八条二項違反をいう点は、所論の各自白調書に任意性がある

とした原判断は相当であるから、前提を欠き、憲法三八条三項違反をいう点は、原

判決指摘の各関係証拠はいずれも被告人の自白の補強証拠とするに足りるとの原判

断は相当であるから、前提を欠き、その余は事実誤認の主張であつて、適法な上告

理由に当たらない。

被告人本人の上告趣意について

所論は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当たらな

い。

よつて、刑訴法四〇五条二号、四一〇条一項本文、四一三条但書により、原判決

中「当審における未決勾留日数中一七〇日を原判決の刑に算入する。」との部分を

破棄し、原判決中その余の部分に対する各上告は、同法四一四条、三九六条により

棄却し、当審における訴訟費用は、同法一八一条一項但書により被告人に負担させ

ないこととし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

検察官西岡幸彦 出席

昭和六二年七月一六日

最高裁判所第一小法廷

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裁判長裁判官 角 田 禮 次 郎

裁判官 高 島 益 郎

裁判官 大 内 恒 夫

裁判官 佐 藤 哲 郎

裁判官 四 ツ 谷 巖

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