大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 平成元年(行ツ)139号 判決 1991年12月17日

上告人

日本赤十字社

右代表者社長

山本正淑

右訴訟代理人弁護士

森恕

鶴田正信

被上告人

大阪府地方労働委員会

右代表者会長

清木尚芳

右補助参加人

大阪赤十字病院労働組合

右代表者執行委員長

吉田一江

右訴訟代理人弁護士

大川真郎

津留崎直美

岩嶋修治

空野佳弘

右当事者間の大阪高等裁判所昭和六三年(行コ)第四五号不当労働行為救済命令取消請求事件について、同裁判所が平成元年八月一八旦言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

一  本件上告を棄却する。

二  上告費用は上告人の負担とする

理由

上告代理人森恕、同鶴田正信の上告理由について

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない(右事実認定のうちには、(ア)被上告補助参加人が上告人の経営する大阪赤十字病院に対し団体交渉をすることを申し入れた事項は一一〇項目を超え、そのうちには団体交渉になじまないものないし未整理のものも含まれている、(イ)被上告補助参加人は、同病院に対し団体交渉の前の僅かな期間(約二〇日間)に右団体交渉申入事項につき文書による回答を求めた等の事実が含まれており、右各事実は、もとより、それ自体団体交渉のあり方からみて妥当なものということはできないが、原審は、同時に、被上告補助参加人・同病院間の従前の団体交渉の実際、本件団体交渉をめぐる紛争の経緯等によれば、同病院がこれらの事実に籍口して被上告補助参加人との団体交渉を拒否した旨を認定しているのであって、右事実認定は原判決挙示の証拠関係に照らして是認できないではない。そうすると、右各事実は、必ずしも、同病院のした団体交渉の拒否が労働組合法七条二号の不当労働行為に該当すると判断することの妨げとなるものではないから、原審の判断は、結局、正当として是認することができる)。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 可部恒雄 裁判官 坂上壽夫 裁判官 貞家克己 裁判官 園部逸夫 裁判官 佐藤庄市郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例