最高裁判所第三小法廷 平成2年(オ)1510号 判決 1994年6月07日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人粟津光世の上告理由一、二について
金融機関が、自行の定期預金の預金者の代理人と称する者に対し、右定期預金を担保に金銭を貸し付け、その後担保権(質権)実行の趣旨で、右定期預金を払い戻して貸付債権の弁済に充当した場合には、民法四七八条が類推適用される(最高裁昭和三三年(オ)第三八八号同三七年八月二一日第三小法廷判決・民集一六巻九号一八〇九頁、最高裁昭和四一年(オ)第八一五号同四八年三月二七日第三小法廷判決・民集二七巻二号三七六頁、最高裁昭和五五年(オ)第二六〇号同五九年二月二三日第一小法廷判決・民集三八巻三号四四五頁参照)。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
同三について
論旨は、原判決の結論に影響しない説示部分を非難するものであって、採用することができない。
よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文とおり判決する。
(裁判長裁判官 可部恒雄 裁判官 園部逸夫 裁判官 大野正男 裁判官 千種秀夫 裁判官 尾崎行信)