最高裁判所第三小法廷 平成21年(許)9号 決定 2009年6月30日
主文
原決定を破棄する。
理由
抗告代理人牧野茂,同高柳孔明の抗告理由について
本件は,名古屋高等裁判所の訴訟救助却下決定(同裁判所平成20年(ウ)第163号)に対し,同決定は憲法25条1項,32条及び76条に違反するとして抗告人が特別抗告をしたところ,原審が,上記特別抗告の理由は,実質的には法令違反をいうものにすぎず,民訴法336条1項に規定する事由に該当しないとして,上記特別抗告を却下する決定をしたため,抗告人が同決定に対して抗告をした事件である。
特別抗告の理由として形式的には憲法違反の主張があるが,それが実質的には法令違反の主張にすぎない場合であっても,最高裁判所が当該特別抗告を棄却することができるにとどまり(民訴法336条3項,327条2項,317条2項),原裁判所が同法336条3項,327条2項,316条1項によりこれを却下することはできないと解すべきであるから,抗告人の特別抗告を却下した原審の上記判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある(上告の場合につき,最高裁平成10年(ク)第646号同11年3月9日第三小法廷決定・裁判集民事192号99頁参照)。論旨は理由があり,原決定は破棄を免れない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 近藤崇晴 裁判官 藤田宙靖 裁判官 堀籠幸男 裁判官 那須弘平 裁判官 田原睦夫)