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最高裁判所第三小法廷 平成23年(ク)230号 決定 2011年9月30日

抗告人

同代理人弁護士

小松初男

松繁三知代

相手方

同代理人弁護士

綿﨑三千男

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

憲法三二条所定の裁判を受ける権利が性質上固有の司法作用の対象となるべき純然たる訴訟事件につき裁判所の判断を求めることができる権利をいうものであることは、当裁判所の判例(最高裁昭和二六年(ク)第一〇九号同三五年七月六日大法廷決定・民集一四巻九号一六五七頁、最高裁昭和三七年(ク)第二四三号同四〇年六月三〇日大法廷決定・民集一九巻四号一一一四頁)の趣旨とするところである。補助参加の許否の裁判は、民事訴訟における付随手続についての裁判であり、純然たる訴訟事件についての裁判に当たるものではないから、原審が、抗告人(原審における相手方)に対し、即時抗告申立書の副本の送達をせず、反論の機会を与えることなく不利益な判断をしたことが憲法三二条に違反するものではないことは、上記判例の趣旨に照らして明らかである。本件抗告理由のうち憲法三二条違反の主張には理由がない。

また、本件抗告理由のその余の部分については、原審の手続が憲法三一条に違反する旨をいう点を含めて、その実質は原決定の単なる法令違反を主張するものであって、民訴法三三六条一項に規定する事由に該当しない。

なお、原々決定を即時抗告の相手方である抗告人に不利益なものに変更するに当たり、即時抗告申立書の副本の送達又はその写しの送付をしなかった原審の措置には、抗告審における手続保障の観点から見て配慮に欠けるところがあったことは否定することができないが、本件記録によれば、原審においては、抗告人に補助参加の利益が認められるか否か等の補助参加の許否をめぐる純粋の法的問題のみが争点となっていて、その前提となる事実関係が争点となっていたわけではなく、上記の法的問題については、原々審において攻撃防御が尽くされ、原審において新たな法的主張が提出されたわけでもないから、その審理手続に裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとはいえない。

よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 寺田逸郎 裁判官 那須弘平 田原睦夫 岡部喜代子 大谷剛彦)

特別抗告理由書<省略>

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