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最高裁判所第三小法廷 平成3年(オ)1936号 判決 1992年9月22日

北九州市小倉北区江南町六番地二〇号

上告人

神前一郎

右訴訟代理人弁護士

三代英昭

佐賀市巨勢町大字牛島五八一番地一

被上告人

株式会社三龍商会

右代表者代表取締役

原口朝光

佐賀市巨勢町大字牛島五八一の一

被上告人

三龍機工株式会社

右代表者代表取締役

原口朝光

右両名訴訟代理人弁護士

安永澤太

安永宏

右当事者間の福岡高等裁判所昭和六二年(ネ)第六一九号不当利得返還請求事件について、同裁判所が平成三年九月一一日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人三代英昭及び上告人の各上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 貞家克己 裁判官 坂上壽夫 裁判官 園部逸夫 裁判官 佐藤庄市郎 裁判官 可部恒雄)

(平成三年(オ)第一九三六号 上告人 神前一郎)

上告代理人三代英昭の上告理由

第一、原審判決は意匠法第二条第一項、第三条第二項、第二六条の解釈適用を誤つた違法があるか、審理不尽、理由不備の違法があるので、破棄されるべきである。

一、本件は

(一) 被上告人代表者であった原口朝一が昭和五一年四月一九日出願して第四八六七四八号をもって登録がなされたかわら(平S形軒かわら)の意匠(原審判決にしたがいイ号意匠という)と上告人先願のかわら(平S形軒かわら)の意匠第三二九九六二号(同じくA意匠という)との間の意匠法第二六条の利用関係の存否

(二) 上告人が意匠登録したかわら(平S形左袖かわら及び右袖かわら)の意匠第三二九九六三号及び三二九九六四号(原審判決にしたがいB意匠及びC意匠という)に対し、右登録出願後に被上告人が製造販売をしている平S形左袖かわら意匠(同じくロ号意匠)右袖かわら意匠(同じくハ号意匠)が、利用関係にある場合の被上告人の意匠の実施につき上告人の承諾の要否

とに関する紛争である。

二、原審判決(以下第一審判決引用部分を含めて原審判決という)は

(一) 上告人の「A意匠とイ号意匠とは基礎的形状及び付加的形状においては類似しているものの、A意匠は無模様を要部とする意匠であり、他方イ号意匠は模様を要部とする意匠であるから、イ号意匠はA意匠の要部を含んでいるものとは認めがたく、したがってイ号意匠とA意匠間に利用関係は成立しない」とし

(二) 「先行登録意匠と後発未登録意匠(利用意匠)との間にも…意匠法第二六条の利用関係の理論を類推適用すべきであると解するが、…ロ号意匠はB意匠の、ハ号意匠はC意匠の各要部を含んでいるものとは認めがたく、したがって、ロ号意匠とB意匠、ハ号意匠とC意匠間にいずれも利用関係は成立しない」

と判示しているが、これは以下のとおり意匠法第二条第一項、第三条第二項、第二六条の解釈適用を誤ってなされたものである。

三、(A意匠とイ号意匠との関係)

(一) ところで原審判決は上告人のA意匠と被上告人のイ号意匠の対比について「両意匠は、平坦部、桟部及び隆起部により構成されている点、平坦部及び隆起部の下端に垂れがある点、桟部の下端に上部が富士形、下部が矩形よりなる変形六角形(偏台形状)の小巴がある点すなわち基礎的及び付加的形状の各構成において共通している」(第一審判決一三枚目表)と説示し、平S形軒かわらの登録意匠であるA意匠とイ号意匠とがその基礎的形状及び付加的形状の各構成が共通していることを認定し、その形状が共通している両意匠ののち、A意匠については、表面に模様がないのに、イ号意匠には表面に模様があるので、その相違点は平S形かわらの表面平坦部が無模様であるか、有模様であるかの点にあるとしているのである。

(二) しかして本件は、その形状が共通している平S形かわらについて、表面に全く模様をつけない(無模様)の先願登録のA意匠と表面に筋状の模様を付加した後願登録のイ号意匠との間に意匠法第二六条の利用関係が存在するかについての紛争対立であるところ、原審判決は、先願登録のA意匠はかわら平坦部の表面裏面とも模様がない点が意匠の要部であり、後願登録のイ号意匠は、その平坦部の表面裏面に筋状の模様がある点が意匠の要部であるとし、先願登録のA意匠の新規性、創作性について次のとおり判示しているのである。

<1> 第一審判決

「軒かわらに小巴を取り付けることは、A意匠の出願前より各形状のかわらにおいて一般的に行われており、公知といえるから、平S形軒かわらに小巴を取り付けることは極めてありふれた構成と考えられ、これをもってA意匠に新規性や創作性があるとはいえない。

これに対し、平S形かわらは、表面裏面に模様を付けたものが広く知られているところ、A意匠は表面裏面とも釘孔以外の模様も立体模様もない点で公知意匠には見られない斬新な特徴が存するものといえるから、被告主張のようにこの点をA意匠の要部とみるべきである。」(九枚目表)

<2> 原審判決

「軒かわらに上部の形状が桟部の形状をそのまま延長した形状の小巴を取り付けることは、A意匠の出願前より各形状のかわらにおいて一般的に行われており、周知といえるから、平S形軒かわらに右形状の小巴を取り付けることは極めてありふれた構成と考えられる。そして、A意匠を表したものであることが当事者に争いのない原判決別紙(一)によれば、A意匠の小巴においても桟部の形状をそのまま延長した結果上部の形状が富士形を呈したに過ぎないと認められるから、A意匠の小巴は、これをもってA意匠に新規性や創作性があるとはいえず、したがって看者の注意を引く部分とは認められない。

これに対し平S形かわらは、表面裏面に模様を付けたものが広く知られているところ、A意匠は表面裏面とも釘孔以外の模様も立体模様もない点で公知意匠には見られない斬新な特徴が存するものと認められ、これにA意匠におけるかわらの表面裏面の占める面積の大きさ及び通常の使用状態においては、かわらの表面が最も看者に注目される部分であることをも考慮すると、被控訴人主張のように表面裏面とも釘孔以外の模様も立体模様もない点をA意匠の要部とみるべきである。」(六枚目裏)

(三) 右原判決のというところの意匠の要部とは、平S形軒かわらの新規意匠につき、新規性、創作性が認められて意匠登録がされた場合において、その意匠について先願登録意匠及び公知意匠との対比において新規性、創作性が認められる点を指称しているものと解されるのであるから、まず登録されたA意匠は何が新規創作意匠として登録されているか即ちA意匠とは、意匠法第二条の定義する「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」のいずれのものであるかを判然とさせなければならない。

(四) 意匠法が定義する意匠とは、

物品の形状

物品の形状と模様の結合

物品の形状と色彩の結合

物品の形状と模様と色彩の結合

であり、すべての意匠について、物品の形状が基礎となり、共通となっているが、物品の形状そのものも意匠であり、物品の形状の意匠として登録されるものである。

したがって、平S形軒かわらにおいても、平S形軒かわらの形状の意匠が存在することが明らかであるところ、A意匠は甲第三号証の添付図面をもって登録されているのであるから、これはまさに「平S形軒かわらの形状の意匠」であるとして登録されているものといわなければならない。

意匠登録出願は、すべて意匠にかかる物品を明示し、登録をうけようとする意匠を記載した図面を提出することとなっており、設定登録がなされると、同時に意匠権が発生し、意匠公報に

<1> 意匠権者の氏名及び住所

<2> 意匠登録出願の番号及び年月日

<3> 登録番号及び設定登録の年月日

<4> 願書及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本の内容

が掲載されるのであるが、意匠権の内容は右<4>によって明示されるのである。

(五) ところで、本件A意匠の内容は何か。

甲第一〇号証の一意匠公報に掲載された図面によると、これはまさに平S形軒かわらの形状の意匠であることが明らかである。

平S形軒かわらの意匠を図面に表示するためには、まずその形状が外縁線をもって表示され、その形状の上に模様が付加され、或は色彩が付加されるものであり、これによって右図面に表示された平S形軒かわらの意匠が、形状の意匠であるのか、形状と模様若しくは色彩の結合の意匠であるのかが明示されるのであるから、A意匠は平S形軒かわらの形状の意匠として登録されたものであることに疑いはない。

右図面の形状の表面に何らの模様が表示されていないことをもって、形状と無模様という模様が結合した意匠とすることは、経験則に反することが明らかである。

(六) 別紙図面<1><2><3>は本件A意匠登録前に製造されていた表面無模様の平S形軒、左、右袖かわら、<4><5><6>は同じく表面に筋状模様が付加されている平S形軒、左、右袖かわら、Aは本件A意匠、B、CはA意匠と同時に登録されたB意匠、C意匠、(イ)はA意匠登録後に出願登録されたA意匠と同一の形状の表面に筋状模様が付加されている平S形軒かわら意匠であるイ号意匠、(ロ)(ハ)はイ号意匠と同時出願され登録が拒絶されたロ号意匠及びハ号意匠である。

本件A意匠の登録以前においては、平S形軒かわらはその左右袖かわらと共に、いずれも前垂れ及び小巴或は覆板が付加されていない形状のもので、表面に模様のないもの及び表面に筋状模様が付加されているものが一般に製造販売されており公知のものであったところ(別紙図面<1><2><3><4><5><6>)、上告人において昭和四〇年一一月一五日意匠登録請求をなした結果、A意匠及び左右袖かわらの意匠(別紙図面のA、B、C)が登録されたものであり、更に右A意匠等の登録出願の後に、被上告人のイ号意匠が登録出願され登録されるに至ったのである。(別紙図面の(イ))

右の経過からみると、本件A意匠は、他の左右袖かわら意匠(別紙図面のBC)と同時に、それより前の公知の意匠と形状を異にした新規のものであるとして登録されたものであることが明らかである。

(七) 原審判決は、A意匠の特徴、要部の認定について「表面裏面とも釘穴以外の模様も立体模様もない点で公知意匠には見られない斬新な特徴が存するもの」(七枚目表)というのであるが、物品である平S形軒かわらの表面裏面に「釘穴以外の模様も立体模様もない」外縁線だけで表示されている図面で表現される意匠は、その平S形軒かわらの形状を表示しているとするのが経験則に合致するものであることが明らかであり、右のように外縁線だけで表示された図面の意匠は、形状と無模様とでなる意匠というのは、A意匠の意匠の要部を形状以外の点に見出すためのこじつけといわざるを得ない。

(八) 一体無模様という意匠があるのか。

すべて、物品の形状が創作されたときには、その表面に模様はなく、その形状の意匠の上に模様が付加されて別の意匠が作出されていくものであり、模様が付加される前の無模様のものは形状の意匠という外はないものである。

現在意匠法は昭和三四年法律第一二五号として公布され、昭和三五年四月一日施行されたものであるが、右法律施行前は意匠登録に際し、意匠の登録請求の範囲を表示することとなっていたため、かわらの意匠登録につき

<1> 昭和三二年九月一五日 出願

昭和三四年九月一九日 登録

第一五三七七二号

登録請求の範囲 図面に示す通りの屋根瓦の形状

(甲第一七号証の七)

<2> 昭和三四年三月七日 出願

昭和三四年九月二八日 登録

第一五三九〇六号

登録請求の範囲 図面に示す通りの屋根瓦の形状

(甲第一七号証の八)

<3> 昭和三二年二月四日 出願

昭和三五年八月一六日 登録

第一六五六五九号

登録請求の範囲 図面に示す通りの屋根瓦の形状

(甲第一七号証の一〇)

<4> 昭和三二年三月二〇日 出願

昭和三五年八月一六日 登録

第一六五六六三号

登録請求の範囲 図面に示す通りの屋根瓦の形状

(甲第一七号証の一〇)

と表示されているのであるが、右はいずれもそのかわらの登録意匠の範囲を「かわらの形状」としているのであり、これに対し「瓦の形状及び模様の結合」の意匠については、登録請求の範囲として「図面に示す通りの瓦の形状及び模様の結合」と記載されているのであり(甲第一七号証の一乃至六、九、一一乃至一三)、かわらについて「形状の意匠」と「形状と模様の結合の意匠」とは区別されて登録されていたのであり、右の登録請求の範囲が形状とされているものは、何れもその意匠公報に掲載されている図面は、瓦の外縁線をもって形状を表示しているのであり、改正法施行後は、出願の図面中に「登録請求の範囲」は記載されなくなったが、それは図面の表示のみをもって意匠登録の範囲を表示させたものであり、前記各登録例と対比しても、本件A意匠が平S形軒かわらの形状の意匠であることは疑うべくもない。

千葉地方裁判所昭和五五年一月二八日判決(甲第二七号証)は、「一般に形状だけの意匠出願の際、出願者は余白の部分を無模様かつ一色と限定する積極的意思を有しないのがむしろ通常であろうし、また模様、色彩と切り離された形状だけの意匠が存在し得ることは意匠法第二条一項の規定の文理上明らかである。…してみれば、形状だけの意匠において余白の部分は、模様、色彩の限定はないと解するのが相当である」と判示し、右の関係を正しく指摘しているのである。

(九) また本件A意匠は、平S形軒かわらについての意匠であるが、A意匠の登録出願は、平S形左袖かわら及び同右袖かわらの意匠(B意匠及びC意匠)についての登録出願と同時になされたものであるところ、特許庁はこれら同時申請のかわらの意匠がいずれも平S形かわらについて、その外縁線のみをもって表示され表面裏面とも無模様であるのに、これら三個の登録出願に応じ、その三出願を同時に意匠登録をなしているのである。(別紙図面を参照)

このことは、特許庁が右平S形軒かわら及び左右袖かわらの意匠の登録出願に対し表面無模様をもって新規性を認めたものではなく(無模様が新規部分ならば三件同時に登録されることはない)それぞれの形状の新規性を認めて意匠登録をなしたものと認められるところである。

ところが原審判決は、本件A意匠については「表面裏面とも釘穴以外の模様も立体模様もない点をA意匠の要部とみるべきである」としている。

もともと意匠の要部は意匠登録請求の範囲の中にあるべきはずのものであるのに、原審判決は、本件A意匠の登録請求の範囲が平S形軒かわらの形状であることを無視して、敢えてA意匠の要部は無模様の点にあるというのである。

成程、A意匠とイ号意匠は、その形状において同一であり、A意匠は表面裏面ともに無模様(形状のみ)、イ号意匠は表面裏面に模様が付加されているので、その両意匠を比較すると、模様の有無が相違点となっていることは明白であるが、A意匠とイ号意匠の利用関係を判定するについては、その意匠登録出願の先後を無視してはならないことは、意匠法第二六条の規定により当然である。

要するに、イ号意匠は、先願のA意匠の形状に表面裏面に筋状模様を付加したかわらの意匠であり、A意匠の形状をそのまま利用して作出された平S形軒かわらの意匠であり、まさに意匠法第二六条の所謂A意匠を「利用するものであるとき」に該当するのである。

(一〇) しかるに原審判決は、意匠登録をうけたA意匠の形状につき、創作性、新規性及び創作容易でないことなどの要件を欠けるものとし、登録されたA意匠の要部は形状ではなく、表面無模様という点にあるという。

意匠法は、意匠登録の積極的要件として

<1> 意匠の創作であること

<2> 新規性があること

<3> 創作が容易でないこと

を定めているのであるが、既に登録されたA意匠について、右の積極的要件に欠けることがあるかについては、特許庁は本件A意匠を利用する意匠の瓦を製造販売し、A意匠を無承諾にて実施している被上告人及びその他の者からの二度に亘る本件A意匠の無効審判の申立に対して、次のとおり本件A意匠登録について無効事由はないとして無効審判の申立を認めない審決をしているのである。

<1> 特許庁昭和五一年審判第七六三号事件昭和五七年一月二五日審決、請求人原口朝一(甲第六号証)

「…本件登録意匠がその出願前に既に公知であり、若しくは容易に創作し得るものであるとする具体的根拠は、これを見出すことはできない。したがって請求人の主張するように、本件登録意匠を意匠法第三条第一項第三号又は第二項の規定に該当する意匠として、これを無効とすることはできない。」

<2> 特許庁昭和五七年審判第一五三三四号事件平成三年一月二四日審決、請求人大分県厚型スレート協同組合

「請求人は本件登録意匠(A意匠)は、この書面(JIS厚型スレート解説書)に記載のS形かわら(平S形かわら)の形状に基づいて容易に創作することができたものである旨主張するが、当業者は本規格にもとづいて所望の軒瓦を製作することがあるとしても、本件登録意匠のような前垂れ部を有し平坦無模様の幅広平坦部とした軒瓦の意匠が甲第一号証(JIS厚型スレート解説書)の文書に基づいて容易に創作されたものであるとは認められない。」

「甲第一号証(前同)の文書にもとづいて本件登録意匠が容易に創作されたとの主張については、本件登録意匠の部分的変形をもって、全体として意匠の創作が容易であるとはいいきれないものである。」

(二) 従前から平S形軒かわらについては、小巴がない形状のものが製造されており、上告人が本件A意匠の登録申請をなす以前においては、平S形軒かわらとしては、別紙図面の<1>及び<4>のような表面に模様がないもの及び表面に筋状の模様が付加されているものが公知であったのに対し、軒かわらの垂れ及び小巴部分を付加して形状を整えた平S形軒かわらは、製造販売されたことはなかったところから、上告人は平S形軒かわらの垂れ部分を整形し、変形六角形富士型の小巴を付加した形状の新規の平S形軒かわらを創作して、昭和四〇年一一月一五日意匠登録の出願をなしたのであるが、上告人が右意匠登録出願をなした後、かわら型枠製造販売業者が、右上告人の登録出願の平S形軒かわらと同一形状のものに表面各種の筋状模様を付加した平S形軒かわらの型枠を製造して販売するようになり、逐次、各地においてこれらの形状に模様が付加された平S形軒かわらが製造販売されるようになったものであることは、原審判決において明らかにされているところである。

(一二) ところで原審判決は、本件A意匠の要部は形状ではなく、表面裏面が無模様である根拠として

<1> 軒かわらに桟部を延長した形状の小巴をつけることは、一般に行われており周知である

<2> 平S形軒かわらに桟部を延長した形状の小巴をとりつけることは、極めてありふれている構成である

<3> A意匠の小巴は、桟部をそのまま延長した結果、上部が富士形となったに過ぎない

<4> 小巴によってA意匠に新規性、創作性があるとはいえないから、小巴は看者の注意を引く部分とは認められない

<5> 従来平S形かわらは表面裏面に模様を付けたものが知られているのであるから、A意匠は表面裏面に模様がない点が斬新な特徴となっている

<6> A意匠のかわらの通常の使用状態では、表面が最も看者に注目される部分である

<7> したがってA意匠の要部は、表面裏面とも無模様の点である

と判示しているのである。

(一三) 軒かわらの小巴は、軒かわらの垂れの左端部分に盛り上がらせた形で付加されているのであるが、古くは円形や家紋を形状したものが多く、軒かわらの桟部を延長しただけの形状のものは少なく、盛り上った小巴部分を整形して、その軒かわらの全体形状にふさわしい形を作り「円形」「将棋の駒形の五角形」「縦長の亀甲形の六角形」等の形状とし、防水というその機能的な性質よりも、その形状を特徴づけて、その軒かわらが屋根に葺き上げられた状態における整然とした外形的美観顕示や、これによる権威表徴などという思想にもとづいて付加されてきたものであり、A意匠は小巴の持つ右思想、アイデアを利用して、幾何学的形状という特徴をもつ平S形軒かわらの小巴に、垂れの部分の持つ形状に相応した縦長の富士形変形六角形を形作らせることにより創作された新型の平S形軒かわらであり、原審判決がいうように単に平S形軒かわらの桟部の盛り上り部分を延長して形作ったというようなものではない。

(一四) かわらの意匠は、その物品の性質上、その基本的形状が変更されて新規性が付加されることは少ないが、かわらの所謂桟部に付加された前垂れ、小巴、袖の覆板などの部分に新たな形状が付加されることにより、または桟部の表面に各種の模様が付加されることにより、新たな意匠のものが作出されているのである。

もともと意匠は、意匠法第二条が定義するように「視覚を通じて美観を起させるものをいう」のであって、専ら物品の外観に何らかの美的処理がなされた結果、物品の基本的な全体形状を変更したり、部分に装飾的加工がなされて全体としての形状を変更し、或は形状を変更することなく模様、色彩が付加された物品が作出されることにより、新たな意匠が成立するものであるから、一般に軒かわらにつき、桟部を延長した部分に、その平S形軒かわらの全体的形状にふさわしい、整形された富士形六角形の小巴を付加することによって成立したA意匠は、右のような小巴が付加されたことによって、従前から存在した平S形軒かわらに対し、新規なものとなり、創作性ありとされるのである。

原審判決は、A意匠の小巴は、平S形軒かわらの桟部をそのまま延長した結果、上部が富士形となったに過ぎないというが、A意匠は、上告人が各種軒かわらにつき、桟部を延長した部分に小巴が付加されているというアイデア、思想を利用して、現実に平S形軒かわらにこれを採用し、桟部を延長した部分が略富士形となるところに着目し、その下部を長方形として整形して、富士形変形六角形の小巴を平S形軒かわらの垂れ部分左端に付加させて作出したものであり、小巴が付けられていない平S形軒かわらに比し、屋根上に葺き上げられた状態が全体として整然となるように、一定の目的をもって創作されたものであり、このことはA意匠の平S形軒かわらと他の平S形軒かわらとの屋根上に葺き上げられた状態を比較することにより明瞭である。

(一五) また、原審判決は、平S形軒かわらに桟部を延長した形状の小巴をとりつけることは、極めてありふれている構成であることを、A意匠の形状についての新規性及び創作容易でないことを否定する理由としている。

しかし乍ら、軒かわらに桟部を延長した形状の小巴をとりつけることはありふれた構成であると理解することと、右のようなアイデアにもとづいて現実に平S形軒かわらに形成された富士形変形六角形の小巴がありふれた形状であり、創作容易であったかどうかを検討することとは別の問題である。

「一般の人の常識として誰でも容易に考えつく程度の極くありふれた形状」が周知形状といわれ、これをそのままそっくり利用したときに創作容易と判断されるのであるが、この周知形状は公知とは異り、現実に日本国内において一般人に広く知られ、またはいろいろな物品に広く化体し、その形状の名称をいえば誰でもがその形状を思い浮かべることができるようなものであり、物品の機能上または構造上から必然的に生まれた単純な形状ではあっても、周知形状とは言えないものは創作容易と認められないのである(高田忠著「意匠」二二一頁乃至二二四頁)。

平S形軒かわらの小巴は、A意匠に形成されている富士形変形六角形が必然であり、誰でも平S形軒かわらの形状といえば本件A意匠を思い浮べることになるであろうか。平S形軒かわらの小巴の形状は誰が考えても千差万別の多数のものが考えられるのであり、A意匠の富士変形六角形以外に考えられないというものではないのである。

前述したように、かわらの意匠は、その物品の性質上、基本的形状が変更されることは少ないが、前垂れ、小巴、袖の覆板などの新形状の付加及び新模様の付加などにより、新しい意匠登録がなされており、昭和四〇年一月以降今日に至るまでのかわらに関する実用新案が九四件に対し意匠登録は二,〇〇〇余件になっていることからみても、新しい形状或は、模様の付加が新意匠として登録されていることが判然とするのである。

この点、原審判決は、平S形軒かわらに桟部を延長した形状をとりつけることは、極めてありふれている構成であるとして、その結果、小巴は必然的に富士形変形六角形となり、A意匠と同一のものとなるとするのであり、経験則に反するものであり、この点については審理不尽、理由不備の誤りをなしていることが明らかである。

(一六) また原審判決は「A意匠の通常の使用状態では、表面が最も看者に注目される部分である」とするが、原審裁判所は、平S形軒かわらが如何なる場所で如何なる状態で使用されていると思考しているのか。平S形軒かわらの通常の使用状態とは如何なる使用状態をいうのか。軒かわらは、屋根の最下部の軒の縁部分に沿って葺かれるべく製造されるものであり、その通常の使用状態では、屋根の軒部分に沿う軒かわらの垂れ及び小巴部分が、人が通常の位置から屋根瓦を観察する場合に目に入って来るのであって、A意匠のかわらの通常の使用状態では、軒先の垂れ、小巴が最も看者に注目されるのが経験上必然であり、表面の模様は、屋根上中央部に葺かれる桟かわらにおいて注目される部分ではあっても、軒かわらにおける表面の模様は、中央部桟かわらの表面模様に合せて作出されているものであり、これが特に注目されるということは通常の使用状態ではあり得ないのである。

この点においても、原審判決は審理不尽、理由不備の誤りがある。

(一七) 原審判決は、軒かわらには、通常桟部左端の盛上り部分を延長した下部に小巴が付加されているという認識を基礎として、本件A意匠の小巴の上部分が軒かわら桟部左端の盛上り部分を延長した形状である富士形をなしているとの一事をもって、小巴を上部部分を富士形とし、下部部分を長方形として、これを合体した富士形変形六角形として作出されたA意匠の形状をもって、ありふれた形状の平S形軒かわらであると断じているのは、意匠法第三条第二項の解釈を誤った結果であるというべきである。

(一八) 原審判決は、形状の意匠として登録されている先願のA意匠につき、その要部は表面裏面とも模様がある点とし、後願のイ号意匠がその無模様部分に筋状模様を付加したに過ぎない同形の意匠であるのに、「後願の登録意匠(イ号意匠)中に、先願の登録意匠(A意匠)の要部を含んでいない場合には、先願の登録意匠の一部の実施にしかならないので、両意匠間に利用関係は成立しない」とし、「…A意匠は無模様を要部とする意匠であり、他方イ号意匠は模様を要部とする意匠であるから、イ号意匠はA意匠の要部を含んでいるとは認めがたく、したがってイ号意匠とA意匠間に利用関係は成立しない」と断じているが、これはA意匠の形状は、ありふれた所謂周知形状であるから意匠登録の積極的要件がないものであるとの見解にもとづいて、その形状の新規性を無視して表面裏面とも無模様がA意匠の要部であるという意匠法第二条第一項の模様という概念を不当に拡大して無模様も模様であるという全く経験則に反する解釈をなした結果によるものといわざるを得ない。

(一九) 以上のとおり原審判決は、意匠法第二条第一項、第三条第二項、第二六条の解釈適用を誤った結果、A意匠とイ号意匠との間の利用関係を認めなかったものであり、法令の解釈適用を誤り、且審理不尽、理由不備の違法ありとして破棄されるべきである。

四、 (B意匠とロ号意匠、C意匠とハ号意匠との関係)

(一) 原審判決は、上告人のB意匠及びC意匠(以下B(C)意匠という)と被上告人が実施している後発未登録意匠ロ号意匠及びハ号意匠(以下ロ(ハ)号意匠という)は、基礎的形状及び付加的形状が共通していることを認定し、「B(C)意匠では平坦部の表面裏面とも二個の釘穴のほかに模様がない(この点がB(C)意匠の要部である)のに対し、ロ(ハ)号意匠では平坦部表面に三本の縦筋条の隆起線と一本の横筋条の隆起線があり、裏面に四個の浅く刻設された矩形と隆起した引掛桟と凹溝とがあって、表面裏面ともそれらが顕著な模様性をなしている(この点がロ(ハ)号意匠の要部である)」(原審判決の引用する第一審判決二六枚目表)と判示し、右の点が顕著な相違であるとしている。

してみると、B意匠及びC意匠が、平S形袖かわらの形状の意匠であるから、後発のロ号意匠及びハ号意匠は、上告人のB意匠及びC意匠を利用するものであり、原審判決が「先行登録意匠と後発未登録意匠(利用意匠)間にも両意匠が同一又は類似の関係にない場合には、権利間の調整規定である意匠法第二六条の利用関係を類推適用すべきである」(原審判決が引用する第一審判決二七枚目裏)し判示している以上、B意匠及びC意匠とロ号意匠及びハ号意匠との間において、当然利用関係の存在を認めるべきであるのに、右両者間に「利用関係は成立しない」と認定しているのである。

(二) B意匠及びC意匠は、平S形袖かわらの袖部(左右の屋根端部分)に整形された変形六角形の覆板をとり付けて、従前から存在した平S形袖かわらと異る形状を作出してこれを意匠登録したものであり、その形状の新規性により、従前の平S形袖かわらと異り、B意匠及びC意匠の平S形袖かわらが屋根上に葺かれたときの屋根の袖部分のかわらの並び方が、他の意匠のかわらの場合に比し、全体的に幾何学的な美観を呈することになるのであるが、この点について原審判決は次のように判示する。

「袖かわらに覆板を取り付けることは、袖かわらの用途、機能に伴う必然的な形状であって、B意匠及びC意匠の出願前より各形状の袖かわらにおいて周知であるから、平S形袖かわらに覆板を取り付けたことは極めてありふれた構成と考えられる」(七枚目裏から八枚目表)

「B意匠及びC意匠の覆板は、いずれも前記坂本格次郎の考察した継目冠蓋の形状のうち、切り欠き部分の形状が坂本のものはマイナス孤状であるのに対し直線である点に相違点があるのみで、その差違は見た目は僅少であると認められるから、覆板をもってB意匠及びC意匠に新規性、創作性があるとはいえず、したがってB意匠及びC意匠の覆板が看者の注意を引くとは認められない。」(八枚目表)

「これに対し平S形かわらは、表面裏面に模様を付けたものが広く知られているところ、B意匠及びC意匠は表面裏面とも釘穴以外の模様も立体模様もない点で公知意匠に見られない斬新な特徴が存するものと認められ、これにB意匠及びC意匠におけるかわらの表面裏面の占める面積の大きさ及び通常の使用状態においてはかわらの表面が最も看者に注目される部分であることをも考慮すると、被控訴人ら主張のように表面裏面とも釘穴以外の模様も立体模様もない点をB意匠及びC意匠の要部とみるべきである。したがって、B意匠及びC意匠の要部は無模様の点ではなく平S形かわらに覆板をとりつけた点にあるとの控訴人の主張は採用できない。」(八枚目表から同裏)

(三) 原審判決が、物品である平S形袖かわらの構成或は機能と、平S形袖かわらの意匠即ち形状とを混同していることは、前記A意匠の場合と同様である。

袖かわらの覆板は、坂本格次郎により、雨水等の侵入等を防止するための継目冠蓋として考案され、「セメント袖瓦ノ袖部ノ一端二継目冠蓋ヲ定着シ袖部ノ他ノ端二釘穴ヲ穿設シタル袖瓦ノ構造」(第一審判決別紙(七))として実用新案登録がなされたものであるが、実用新案法が保護するのは「物品の形状、構造又は組合せに係る考案」(実用新案法第一条)であり「考案とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいう」(実用新案法第二条第一項)のであり、「物品の形状…で視覚を通じて美感を起させるものをいう」ところの意匠とは異るものである。

(四) 原審判決は「平S形袖かわらに覆板をとり付けたことは極めてありふれた構成と考える」といい、坂本の考案した継目冠蓋の形状とB意匠及びC意匠の覆板の形状とを比較して「B意匠及びC意匠の覆板は、いずれも坂本格次郎の考案した継目冠蓋の形状のうち切り欠き部分の形状がマスナス孤状であるのに対し、直線である点に相違点があるのみ」であるというが、B意匠及びC意匠と坂本格次郎の考案の継目冠蓋の形状(以下坂本意匠という)を比較すると次のとおり相違点があり、坂本意匠が公知であるからといってB意匠及びC意匠が必然的に作出される「ありふれた形状」とは認め難いところである。

<1> 坂本意匠は、覆板が半富士型となる斜線部分がマイナス孤状となって全体として変形五角形となっているのに対し、B意匠及びC意匠のものは半富士型の斜線部分の下部に巾狭の水平部があり、その水平部から斜線が直線にて山頂部に至るため、全体として変形六角形となっている。

<2> 坂本意匠は、半富士型斜線部分が大きくマイナス方向に半円孤状となって弯曲しているのに対し、B意匠及びC意匠は、斜線は下部水平部から約六〇度の直線にて上方に至るものであり、この形状の相違は顕著である。

<3> 坂本意匠は、和形かわらの袖部の覆板として、これにふさわしい形状として弯曲線部分を構成部分としているのに対し、B意匠及びC意匠は、平S形袖かわらの袖部の覆板として幾何学的直線をもって構成されているのであり、覆板のもつ印象は全く異るものである。

(五) この点について特許庁は、大分県厚型スレート協同組合外五名(この中には被上告人株式会社三龍商会も入っている)の請求にかかる本件B意匠及びC意匠の無効審判事件につき、次のとおり判示して、右「無効審判請求はなりたたない」との審決をなしている。

<1> 特許庁昭和五八年審判第一三七三八号事件、平成三年一月二四日審決(本件B意匠関係)

「…左端斜面部分に覆部のある垂壁を形成することは、左袖瓦の意匠として当然の帰結であるということはできず、…本件登録意匠が甲第八号証(JIS厚型スレート解説書)記載の意匠にもとづいて容易に創作されたものとはいえない」

<2> 特許庁昭和五八年審判第一三七三九号事件、平成三年一月二四日審決(本件C意匠関係)

「…右端斜面部分に覆部のある垂壁を形成することは、右袖瓦の意匠として当然の帰結であるということはできず、…本件登録意匠が甲第八号証(JIS厚型スレート解説書)記載の意匠に類似するものではなく、またこれに基いて容易に創作されたものとはいえない」

以上のとおり、特許庁は右本件B意匠及びC意匠の無効審判事件の審決において、平S形左、右袖かわらに覆板をとりつけた意匠を形成することは、創作容易ではないと判定しており、原審判決が「平S形袖かわらに覆板をとりつけたことは極めてありふれた構成と考える」とする見解を否定しているのである。

(六) 原審判決は、B意匠及びC意匠の場合も、A意匠と同様、その形状に新規性、創作性が認められないとし、その意匠の要部は「表面裏面とも釘穴以外の模様も立体模様もない点をB意匠及びC意匠の要部とみるべきである」というのであるが、本件B意匠及びC意匠が意匠法第二条に定める形状の意匠であることは、A意匠に関する点につき、前記三の(三)乃至(八)項において説明したのと同一の理由により明らかである。

特に平S形かわらにおいては、本件B意匠及びC意匠の出願以前から別紙図面に示すとおり、同図面<1>乃至<6>の形状及び模様の付加された軒かわら、左、右袖かわらが製造、販売されていたのであるから、若し本件各平S形かわらにつきその表面無模様の点にのみ、意匠登録の積極的要件である新規性、創作性があるとされるならば、B意匠及びC意匠が、ともに同時登録されることはあり得ないこととなるはずである。

現に、本件A意匠、B意匠及びC意匠の意匠登録後に、同時に登録出願された別紙図面(イ)(ロ)(ハ)のイ号意匠、ロ意匠及びハ意匠は、A・B・C意匠につきその表面に筋状模様を付加して新規意匠として登録申請をなしたため、既に公知意匠となっているA意匠、B意匠及びC意匠のうちの一であるA意匠に関するイ号意匠のみが登録され、ロ号意匠及びハ意匠は登録されなかったのである。

これらは明らかにA意匠、B意匠及びC意匠がそれぞれ公知意匠に対し、形状に新規性、創作性が認められて意匠登録されたものであることを裏付けるものである。

(七) 次に原審判決は、本件B意匠及びC意匠の要部が表面等無模様である点を裏付ける事実として「B意匠及びC意匠におけるかわらの表面裏面の占める面積の大きさ及び通常の使用状態においては、かわらの表面が最も看者に注目される部分である」としているが、袖かわらは、屋根の左端及び右端の傾斜面に沿って葺かれるべく製造されたものであり、その通常の使用状態においては、屋根の両端の傾斜面に沿う袖かわらの左、右端斜面部分が、人が通常の位置から屋根瓦を観察する場合に目に入って来るものであって、B意匠及びC意匠のかわらの通常の使用状態では、屋根上、左、右端の傾斜面及びそこに付加形成されている半富士形の覆板の存在が最も看者に注目されるのが経験則上必然であり、表面の模様は、屋根中央部に葺かれる桟かわらにおいては、注目される部分であっても、左、右袖かわらにおいては、中央部桟かわらに合せて作出されているものであり、これが特に注目されるということは、通常の使用状態ではあり得ないのである。

(八) 原審判決が、前記のとおり、B意匠及びC意匠と後発未登録意匠との間にも、意匠法第二六条の利用関係を類推適用すべきであるとしながら、B意匠及びC意匠と基本的形状、付加的形状が同一であるロ号意匠及びハ号意匠との間にその利用関係の類推適用を認めなかったのは、B意匠及びC意匠が形状の意匠であるのに、その形状はありふれた周知意匠であるから意匠登録の積極的要件がないとの見解にもとづいて、B意匠及びC意匠の形状の新規性を無視して、表面裏面とも無模様の点をもってB意匠及びC意匠の要部であるという意匠法第二条第一項の模様という概念を不当に拡大して経験則に反する解釈をなした結果であるものといわざるを得ない。

(九) 以上のとおり原審判決は、意匠法第二条第一項、第三条第二項、第二六条の解釈適用を誤った結果、B意匠及びC意匠とロ号意匠及びハ号意匠との間の利用関係を認めなかったものであり、法令の解釈適用を誤り、且審理不尽、理由不備の違法ありとして破棄されるべきである。

五、原審判決は、上告人が「表面裏面とも無模様の平S形かわらは、本件意匠登録出願前から製造販売されていたものであるから、本件各意匠につき、表面裏面とも無模様であることを、意匠の要部となすことは誤りである」旨主張したのに対し、右のように表面裏面とも無模様の平S形かわらが本件意匠登録出願前において使用されていたことを認定しながら、本件意匠が登録されたのは特許庁が右事実を知らなかったからであるとし、「仮に特許庁において、表面裏面とも無模様の平S形かわらが本件意匠登録出願前公然使用されていることを探知していたとすれば、本件登録意匠は、いずれも登録を拒否されていた」といえるとし、右事実は、本件登録意匠の要部が表面等無模様にありとする判断に影響しないとしている。

原審判決は、平成二年九月一九日弁論終結し、一年を経過した平成三年九月一一日判決言渡しをなしたものであるが、その間の平成三年一月二四日には、右の点について前記のとおり特許庁が小巴及び覆板の形状の創作性を認める審決をなしており、この審決は公表され、上告人からの通知により右事実を知りながら、敢て右のとおり「特許庁においては、本件意匠登録を拒絶したといえる」とした上、本件登録意匠の要部は、表面等無模様にありとして、A意匠、B意匠及びC意匠とイ号意匠、ロ号意匠及びハ号意匠の利用関係を認めなかったのは審理不尽、理由不備の誤りをなした違法のものであり、破棄されるべきである。

以上

<省略>

(平成三年(オ)第一九三六号 上告人 神前一郎)

上告人の上告理由

一、

図1の意匠公報本件B、C意匠と図2の坂本格次郎の実用新案公告公報(以下坂本瓦という)の三件を比較対象すれば、福岡高等裁判所の判決文が誤りであることが明確になるものであります。判決文では、「袖瓦に覆板を取付ることは、袖瓦の用途機能に伴う必然的な形状であって、B意匠及びC意匠の出願前より各形状の袖瓦において周知であるから平S形袖瓦に覆板を取付けることは極めてありふれた構成と考えられ」云々..「前記坂本瓦の考案した継目冠蓋の形状のうち切り次き部分の形状が」云々..、

「その差異は見た目は僅小であると認められるから覆板をもってB意匠及びC意匠に新規性、創作性があるとはいえず」云々と言っているのであります。

この考え方であれば本件B左袖瓦とC右袖瓦は坂本瓦よりその構成もその形状もよく似ているのであります。むしろよく似ているというよりその構成は全く同じであります只相違する点は右袖と左袖の違いであります。しかるにこの意匠の登録番号は左袖が三二九九六三号であり右袖が三二九九六四号であり類似意匠でなく独立意匠として登録されているのです。

坂本瓦は袖部はB、C意匠とその袖部はよく似ているのでありますが本体部分は平面ではなく曲線になっているのでB、Cよりはるかにその形状は相違するのでありますがその構成は判決でいうように全く同じであります。しかるに坂本瓦は昭和一一年実用新案出願公報第一五一五四号として登録されているのであります。斯くの如く同一構成であっても片方は実用新案として片方は意匠として三件とも権利化しているのであります。判決でいう「各形状の袖瓦において周知であるから平S形袖瓦に覆板をとりつけることは極めてありふれた構成と考えられ」というのであれば何も坂本瓦を引合に出さなくても坂本瓦と同じ和瓦の袖瓦に覆板を取付た同一構成の袖瓦は平安時代や奈良時代に建築した神社、佛閣にも沢山使用されているのであります。

即ちいくらありふれた構成であってもその全体形状が相違すれば意匠権となるのであります。この裁判所の考え方から言えば現在の意匠法を廃止しなくてはなりません。又裁判所のこの考え方は意匠法と実用新案法を根本的に取違えているのであります。

その理由<1> この考えが正しいとすれば、坂本瓦の実用新案を引合に出す迄もなく燈台元暗しであり本件B、Cを比較すればその判断をあやまることなく正しい答えが出たのであります。本件B、C意匠即ち平S形の右袖瓦と左袖瓦が独立意匠で同時に登録されたかであります。坂本瓦の実用新案は添付図面の通り平S形ではなく和形瓦であり瓦の種類が相違するのであります。しかし本件B、Cは二つとも平S形であり只相違することは右と左だけであり表、裏に模様がない点もほぼ同一形状の覆板を取付けたことも、その構成の原理は全く同じであります。しかるにこの二ヶが登録された事実は構成原理が同じであっても右、左の全体形状が相違するから登録されたのであります。これが実用新案登録であれば二ヶとも拒絶されたかあるいは右、左二ヶのうち一ヶが登録され、一ヶが拒絶されたかであります。

その理由<2> 添付坂本瓦の実用新案では「瓦の構造」として「本案ハ第一図ニ示ス如ク「セメント」袖瓦、袖部(一)ノ一端ニ継目冠蓋(二)ヲ定着シ油部ノ他端ニ釘穴ヲ穿設シタルモノナリ」と文書で書いてあります。即ちこれは、和形袖瓦の構成の原理であります。従って図面は右袖のみであり左袖はないのであります。しかしその権利は右袖にも及ぶのは当然であります。この1例をとって見ても多くを語ることなく実用新案は構成の原理であり意匠は物品の全体形状であることの相違がありその法律の目的を異にすることが明確になるものであります。この法律を混同してはなりません。

その理由<3> 更に言えることは本件意匠の三件が特許庁のミス登録でないことは前記の通り相手方から申し立てた一五年間に及ぶ二回の無効審判で、無効にならなかった事実であります。

この三件とも真正なる意匠であります。この事実から考えても本件意匠は無模様の意匠ではなく形状の意匠であることの答えは出ているのであります。相手方の主張は意匠法を無視した誤りという外はないのであります。又特許庁で与えた意匠権を裁判所で潰すことは違法であります。法を守るのが裁判所であり逆に裁判所で法を破壊してはなりません。意匠法では婦人帽にリボンを取り付けたことも権利になる要素があるのであります。

本件B意匠

日本国特許庁

昭和46.5.21発行 意匠公報 49

329963 出願 昭40.11.15 意願 昭40-32123 登録 昭46.3.31

意匠権者(創作者) 神前一郎 鹿児島市南林寺町17の26 神前鉄工所内

代理人 弁理士 中村雄

意匠に係る物品 かわら

参考図1

<省略>

本件C意匠

日本国特許庁

昭和46.5.21発行 意匠公報 49

329964 出願 昭40.11.15 意願 昭40-32124 登録 昭46.3.31

意匠権者(創作者) 神前一郎 鹿児島市南林寺町17の26 神前鉄工所内

代理人 弁理士 中村雄

意匠に係る物品 かわら

<省略>

昭和十一年實用新案出願公告第一五一三四號 第四十九類 八、瓦

(行) 九五

願書番號昭和十一年第二〇三四七號

出願 昭和十一年六月十八日

公告 昭和十一年十一月五日

熊本市出水町府一五八三番地

出願人 考案者 坂木格次郎

熊本市長安寺町十四番地

代理人 土田清次

袖瓦

圖面ノ洛部 第一圖ハ本案ノ表面コリ見タル斜面圖第二圖ハ本案ノ裏面ヨリ見タル斜面圖第三圖ハ本案ノ實施状態ヲ示ス斜面圖第四圖ハ本案二枚ヲ葺セ裏面コリ見タル面圖第五圖ハ第三圖ニ於テ(A)(B)線ニ於ケル縦断正面圖ナリ

實用新案ノ性質、作用及效果ノ要領 本案ハ第一圖ニ示ス如ク「セメント」袖瓦ノ袖部(1)ノ一端ニ目蓋冠(2)ヲ定着シ袖部ノ通端ニ釘穴(3)ヲ穿設シタルモノナリ

本案ハ上記ノ如キ構造ヲ有スルヲ以テ之ヲ袖瓦トシテ葺キ合スルニ當り第三圖及第五圖ニ示ス如ク甲瓦ノ袖後端ヲ釘穴(3)ニテ(4)ニ釘留メニシ該後端ヲ乙瓦ノ目冠蓋(2)内側ノ嵌合部(5)ニ突キ合セ其ノ目(6)ヲ乙瓦ノ目冠蓋(2)ニテ被覆シ釘ノ雨水ノスルヲ防止スル事目ヨリ横雨ノ打込ム作用及目ヨリ風ニリサレル事等ヲ防止スル如クナレリ

本案ハ前記ノ構成並ニ作用ヲ有スル放ニ袖瓦ノ風切り作用完行スルト同時ニ雨ニヨル阪風板ノ腐德スルヲ防止スルノ効果有リ

登録請求ノ範圍 圖面及設明書ニ示ス如ク「セメント」袖瓦ノ袖部(1)ノ一端ニ目冠蓋(2)ヲ定着シ袖部ノ他端ニ釘穴(3)ヲ穿設シタル袖瓦ノ構造

参考図面2

<省略>

二、

本件意匠A、B、C、の意匠の三件が独立意匠であるか、類似意匠であるかを見れば多くを語ることなく福岡高裁判決文でいう本件意匠が「表面、裏面とも釘孔以外の模様も立体模様もない点をB意匠C意匠の要部とみるべきである」という被控証人の主張が正しいか「B意匠、及びC意匠の要部は無模様の点でなく平S瓦に覆板を取り付けた点にある」という控証人の主張が正しいかが判明するのであります。

図を見ればA、B、C、の三意匠とも 表面、裏面とも釘孔以外の模様も立体模様もない点は全く同じであります。

判決が言うようにこれが正しいとすれば全く同じ要部をもった平S形の瓦が何故三件別意匠として登録されたかであります。

無模様が要部であり、その形状が非要部であれば誰が見ても三件とも平S形の瓦でありますから、そのうちの一件は登録されても残りの二件は類似範囲に入るもので登録を拒絶された筈であります。

ところが拒絶されることなく前記の通り三件が登録された事実はこの三件が非類似であることの確証であります。非類似であるとすれば上記の通り無模様の点は全く同じでありますから、相違する点は形状であります。申す迄もなく先願にも公知にも存在しない本件A、B、C、の三件の内の一つが平S形の軒瓦であり、その二つが右袖瓦でありその三つが左袖瓦にそれぞれ覆板を取付けた新規に創作した形状が、登録されたことに議論の余地はないのであります。

百歩を譲って考えても本件意匠が、無模様が要部であるということが正しいとすれば、その反対に表面の有模様が要部であるという先願の意匠か公知の同一形状の平S形の軒、袖瓦がなくては本件意匠の要部が無模様であるという根拠はないのであります。

更にいえることは無模様が要部であり形状が従的な非要部であるとするならば三件のうち1件を本意匠として残りの二件は類以意匠として登録されなければならないのであります。

以上の通りであり本件意匠と対象とする模様付きの平S形の軒、袖瓦の公知瓦もなく先願意匠もないことは相手方が起こした二回に亘る一五年間の無効審判でも発見されることなく二回とも当方が勝っている事実から判断しても無模様が要部であるという合理的なる理由その根拠も存在しないものであります。

まさに無模様が要部であるなどということは典型的なる誤りであります。

当方のこの見解に対して黙否することなく相手方に反論を求めるものであります。尚当方の見解としては意匠の要部とはその全体形状のうち出願時点で創作した新規部分を要部と考えております。

逆に出願時点で先願があったり公知であった部分は非要部であると考えております。

この点についても反論を求めるものであります。

更にもう一つ大切なことは、裁判所の判断は屋根瓦の種類が峰瓦を除いて平坦部で六種類あることを忘れるか意図的に無視していることであります。誰が考えても屋根瓦には中央部に使用する身瓦と下側端の軒瓦と右端の右袖瓦と左端の左袖瓦と四隅に各一ヶ使用する右隅瓦と左隅瓦の六種類が必要となるのであります。

この六種類の瓦はすべて形状が相違するので別意匠となるのであります。これを混同したり身瓦と役瓦を混同して一意匠と考えるところに前記判決文の如き間違いが生じるのであります。

(添付図参照)

日本国特許庁

昭和46.5.21発行 意匠公報 49

329962 出願 昭40.11.15 意願 昭40-32121 登録昭46.3.31

意匠権者 (創作者) 神前一郎 鹿児島市南林寺町17の26神前鉄工所内

代理人 弁理士 中村雄

意匠に係る物品 かわら

本件A意匠

<省略>

日本国特許庁

昭和46.5.21発行 意匠公報 49

329963 出願 昭40.11.15 意願 昭40-32123 登録 昭46.

意匠権者(創作者) 神前一郎 鹿児島市南林寺町17の2神前鉄工所内

代理人 弁理士中村雄

意匠に係る物品 かわら

本件B意匠

<省略>

日本国特許庁

昭和46.5.21発行 意匠公報 49

329964 出願 昭40.11.15 意願 昭40-32124 登録 昭46.3.31

意匠権者(創作者) 神前一郎 鹿児島市南林寺町17の26神前鉄工所内

代理人 弁理士中村雄

意匠に係る物品 かわら

本件C意匠

<省略>

<省略>

三、無模様の意匠は形状の意匠であることの証拠について

本件意匠が形状の意匠であり相手方が主張し、それを判決で採用した無模様の意匠ではないことについて、その証拠を提示しその説明をする。

図<1>が本件意匠三件の内の一コである左袖瓦Bであります。

図<2>が昭和三二年意匠法の改正前に出願した和形瓦の形状の意匠であります。その証拠は「登録請求の範囲、図面に示す通りの瓦の形状」と明記してあります。

左袖瓦は改正後の昭和四十年の出願ですから「意匠に係る物品瓦」と書いてあります。しかし誰が見ても図<2>が形状の意匠であれば図<1>も形状の意匠であることに異論はないのではないかと考えるものです。

図<1>も<2>も表面にも裏面にも模様がない点は同じであります。従って片方が形状であり片方が無模様の意匠であると言うことは間違いであります。

意匠法には図<4>の如く「形状及び模様の結合」という意匠はあっても「形状及び無模様の結合」という構成は存在しないのであります。意匠法に存在しないことを何故主張するかについて、第2審で当方が強く指摘したのでありますが相手方は、黙否して最も肝心なことに何等の反論をせず裁判所は又、これを無視して判決文中にもその理由も説明もなしていないのであります。

まさに片方の主張のみを聞いて、片方の主張を無視する不公平なる裁判という外はないのであります。

改正前、図<2>のように本件<1>の図面に「瓦の形状」書いてあれば誰が見てもわかる不合理な判断はできなかったでありましょうが、書いていないからと言って、こんな判決をすることは無審理に等しい裁判と言う外ないのであります。

意匠法の中味と本質は改正前も改正後も何等変わっていないのであります。只改正後の相違点は意匠は視覚で見るものであるから、物品名を書いておけば六面図面でそれが形状であるか、形状と模様の結合であるか更に十色彩の意匠であるかは普通の視力の人であれば判別できるから書かなくてもよいという理由で出願を簡素化したと言うことであります。

百歩譲って判決通り本件意匠の要部が無模様であるとすれば、これに対し本件意匠の対象となる本件と同一形状の模様付の先願意匠がなくてはならないのであります。それがあれば本件意匠は模様なしの平S形軒右、左袖であると言えるかも知れないのであります。

しかし前示の通り相手方が申立た二回の無効審判において一五年間血眼になって探したのでありますが、本件と同じ形状の無模様も模様付きの先願意匠も公知瓦も存在しなかったのであります。

そのため相手方は前示の通り二回とも無効審判で負けているのであります。

更に、本件意匠が形状の意匠であることの証拠として言えることは、相手方は本件意匠の出願の一一年後の昭和五一年に本件意匠A軒瓦に表、裏面に模様を付けその裏面に雀返しという小突起を付した図<3>を出願しそれと同時に本件B、Cと同形の右、左袖瓦に表、裏面に模様を付したものをこの軒瓦の類以意匠として出願しているのでありますが、本意匠である上記<3>の軒瓦のみ登録され、類以意匠である右、左袖瓦は拒絶されたのであります。

この理由は本意匠である軒瓦は裏面に雀返しがついているからこれが先願になく珍しく新規性があるとして登録されたのであります。類以意匠とは自己の意匠にのみ似る意匠とされており形状と模様が本意匠に類以していれば登録されなければならないのです。

それが拒絶されたと言うことは雀返しの形状以外は、その形状も模様も新規性はなく、先願があることを立証しているのであります。この一連の事実から考えるとき本件意匠が無模様にあるとする判断は根拠のないものである。即ち本件意匠の無模様に対比する有模様の意匠は先願にも存在しないのである。

従ってこの点から判断しても本件意匠は無模様、有模様に関係なく純粋に形状の意匠であることを立証するものであります。

相手方が何故これ程理不尽に形状の意匠を否定するかという理由は言う迄もなく相手方も裁判所も本件意匠A、B、C、と相手方のイ、ロ、ハ、号の形状が同一でありそっくりであることを認めているからであります。

同一の形状に模様を付した場合は利用関係が成立することを知っているからである。

相手方が正常であるならもうこれ以上不合理極まる議論はやめて真面目にこれ迄の様な空論ではなく具体的な証拠を提示して合理的なる反論をするべきである。

それを裁判所で充分審理なした上、公平なる判決を要求するものであります。

日本国特許庁

昭和46.5.21発行 意匠公報 49

329962 出願 昭40.11.15 意願 昭40-32121 登録 昭46.3.31

<1> 意匠権者(創作者) 神前一郎 鹿児島市南林寺町17の26神前鉄工所内

代理人 弁理士 中村雄

意匠に係る物品 かわら

<省略>

特許庁

昭和36.6.21発行 意匠公報 第12類

165659 出願 昭32.2.4 (前実用出新案出願日受用) 意願 昭35-1925

登録 昭35.3.16

<2> 意匠権者(考案者) 藤永素朔 東京都世田谷区上馬町1の825

(意匠権者において、実施許諾の用意がある)

登録請求の範囲 図面に示す通りの瓦の形状

意匠を現すべき物品 第12類 瓦

<省略>

165663 出願 昭32.3.20 (前実用新案出願日受用) 意願 昭34-10765

登録 昭35.8.16

意匠権者(考案者) 藤永素朔 東京都世田谷区上馬町1の835

(意匠権者において、実施許諾の用意がある)

登録請求の範囲 図面に示す通りの瓦の形状

意匠を現すべき物品 第12類 瓦

<省略>

日本国特許庁

昭和53.10.27発行 意匠公報 49-98

486748 出願 昭51.4.19 意願 昭51-13991 登録 昭53.7.21

<3> 意匠権者(創作者) 原口朝一 佐賀市田代1の8の29

代理人 弁理士 嶋本久寿弥太

意匠に係る物品 瓦

<省略>

特許庁

昭和35.5.17発行 意匠公報 第12類

153533 出願 昭32.11.7 意願 昭32-15223 登録 昭34.9.11

<4> 意匠権者(考案者) 大橋宗太郎 高松市香西本町751番地の1

同 罵房吉 徳島市上佐古町12の8

代理人 弁理士 西田義雄

登録請求の範囲 図面に示す通りのスレート瓦の形状及び模様の結合

意匠を現すべき物品 第12類 スレート瓦

<省略>

昭和36.8.29発行 意匠公報 第12類

153533の類似2 出願 昭83.5.22 意願 昭88-10425 登録 昭35.11.30

意匠権者(考案者) 大橋宗太郎 高松市香西本町751番地1

同 罵房吉 徳島市佐古町12の29

代埋人 弁理士 西田義雄

登録請求の範囲 図面に示す通りの瓦の形状及び模様の結合

意匠を現すべき物品 第12類 瓦

<省略>

(昭和五八年審判第一三七三九号審決書省略)

四、

意匠は瓦の飾りの創作でありますからその形状や模様や色彩は多種多様に亘るものであります。実用新案は瓦の技術的考案であるためにその種類は限定されるのであります。昭和四十年一一月から平成三年一〇月二八日現在迄の間に瓦に関するものは実用新案の登録件数は九四件であります。

それに対して意匠の登録件数は二〇〇三件であります。

実に二〇倍以上であります。この事実は判決でいうように「平S形袖瓦に覆板を取り付けたことは極めてありふれた構成と考えられる。」と言っているのでありますが形状に新規性の創作部分があり、その全体形状が相違すれば意匠権となるのであります。

判決でいうように各形状の袖瓦に覆板を取付けることは周知であるのなら同じ構成の瓦は平安時代からあるのでありますから前記の如く昭和四〇年から今日迄約二五年間で登録された二〇〇三件の瓦も殆んど周知であり全く変った構成の瓦は存在しないのであります。構成原理を異にする瓦は前記の通り二五年間で九四件が登録されていることが何よりの証拠であります。

意匠法ではその構成原理が同じであっても全体形状が相違すれば、意匠権になる可能性があり又先願の形状の意匠に三色の色彩を施した場合も別意匠になる要素があるのであります。

但しその形状の利用になることは言うまでもないことであります。現在日本中の屋根を見て廻っても瓦の種類は、一〇〇種類もないと思われます。

しかるに、瓦の意匠の数は前記の通り昭和四一年以降の登録のみでも二〇〇三件もあるのです。

仮に、一〇〇種類あっても一種類の瓦で二〇件の意匠が存在する計算になります。

この現実から考えても瓦の意匠は瓦の装飾であり少しでも瓦の審美

効果を高めれば、目的を達するのでありますから改良個所が小さいからと言って、これを無視することは意匠法に反するものであります。

(添付表参照)

特許・実用新案調査(かわらに関するもの)

FILE P、U

特許、実用新案ファイルに接続しました。 91/10/28 12:19:52

F IC=E04D1/00*FK=K“カワラ”

カワラ 1 河原 2瓦 3香春 4川原 5 6 7磧 8

漢字を番号で選択して下さい。

<省略>

S4 U(実用新案) 94

特許・実用新案 計149件

意匠調査(期間:S40.01.01~現在まで)

FILE D

意匠ファイルに接続しました。 91/10/28 11:40:58

<省略>

五、

福岡高裁判決では次の通りの判決がされている。

「通常の使用状態においては瓦の表面が最も看者に注目される部分である。」

「表面、裏面とも釘孔以外の模様も立体模様もない点をB意匠、C意匠の要部とみるべきである。」

「B意匠及びC意匠の覆板が、看者の注意を引くとは認められない」

その理由で本件B、C意匠は形状の意匠ではなく無模様の意匠であると言うのであります。

しかしこの判断はあやまりであります。

第一の理由は図面の通り中央部の身瓦と軒と右、左側に使用する四種類の瓦があります。

それを区別することなく本件A、B、C、の三種類の瓦と身瓦を混同しているのであります。

図面の通り身瓦は表面しか見えないから表面が要部と言えるのでありましょうが、軒、右、左袖瓦はその名前の通り軒部、袖部が要部であり又それが、通常の使用状態です従って軒部、袖部が最も看者の注意を引くところです。この肝心な事実調べがなされていないのであります。

第二の理由は元々意匠権には無模様が要部であると言う意匠は存在しないのであります。

無模様の意匠とは即ち形状の意匠であります。

若し同一形状で有模様の意匠があればそれは無模様の形状を利用している意匠であります。

その確証は意匠法では同一形状に模様付きの先願の形状と模様の結合意匠が存在した場合はその輪郭のみをまねた形状意匠は拒絶されて登録されることはないのであります。従って無模様が要部であるという意匠は意匠法上存在しないのであります。

若しそれがあれば実例を示して貰いたいのであります。

(添付写真図面参照)

<省略>

平成三年一〇月一七日

神前一郎撮影作図

<省略>

平成三年一〇月二日

神前一郎撮影

<省略>

平成三年一〇月二日

神前一郎撮影

添付判決速報は手提袋の「形状の意匠」に模様を施した「形状の利用に関する千葉地方裁判所の判決文であります。

この裁判と本件裁判は、片方が瓦でありますが、その形状の意匠に模様を施した利用関係について本質的に全く同じであり、何ら異るところはないのであります。

しかるに、前記判決では意匠法を正確に理解して、形状の利用を認めたものであります。

逆に福岡高裁の本件判決は意匠法と実用新案法との解釈を誤り、形状の利用を否定しているのであります。

(添付表参照)

民事第2部 昭和52年(ョ)第253号

意匠権侵害差止仮処分申請事件

昭和55年1月28日判決、請求認容

債権者 株式会社ヤマト屋

債務者 優美社産業株式会社

〔参照条文〕 意匠法24条、26条

〔事案〕 債権者は、登録第324607号の意匠権の専用実施権者であるが、債務者が製造販売する手提袋は、この専用実施権を侵害するものであるとして、本件差止め請求の仮処分申請をした。

登録第324607号意匠「手提袋」の構成は次のとおりで、これには類似1号ないし27号が登録となっている(本意匠と類似第26号のみ掲げる)。

説明 背面図は正面図と.上部を収納した状態の背面図は同正面図と対称にあらわれる。

<省略>

類似第26号の意匠

説明 背面図は正面図と対称にあらわれる。

<省略>

(差止めの対象物件)

次の説明および図面に示される形状の手提袋

52 特許と企170 83年2月

1. 袋本体1は正面(背面も同じ)形状がやや疑長の長方形をなし、左右両側面の形状が短冊状をなす。

2. 袋本体1の上端部外側に正面図に示される知く2個の提手取付片5が設けられ、提手2が逆U字型に取付けられている。

3. 袋本体1の下縁から袋の縦の長さの約3分の1乃至4分の1の位置に、袋の上緑下緑とほぼ平行にファスナー3.3′が正面及び背面において対称に付され、該ファスナー3.3′は左右両でやや上向きに湾曲している。

また該ファスナー3.3′は本体1の左右両側面で合体して袋本体1に付されている。

4. ファスナー3.3′には、スライダー4が係合している。

5. 袋本体1の上端部内側に平面図に示されるように袋閉口部開閉ファスナー6.6′が付看され、該ファスナー6.6にはスライダー7が係合している。

6. 債務者製品は、ファスナー3.3′を境にして袋本体1の下部を上部に収納しうるようになっている。収納した場合、ファスナー3.3′は袋の緑線構成し、左右両端でやや上向きに湾曲した形状となる。

<省略>

ァスナーやい目の線図模様との明度差はめて大きく、ほとんど白黒に近い度の差があるなどと解すべき合理的根拠を見い出すことはできない。

本件登録意匠詳は手提袋の形状だけの意匠と解するのが相当である。

(3) 形状だけの意匠と余白の部分

T定によれば、本件登録意匠群のファスナーやい目を形状と見ることもできる、しかし、かような形状だけの意匠において余白の部分は無模様かつ一色と解すべきである、としている。

しかし、一般に、形状だけの意匠の出願の際、出願者は余白の部分を無模様かつ一色と定する精的意思を有しないのがむしろ通常であろうし、また、模様、色彩と切りされた形状だけの意匠が存在しうることは意匠法2条1項の規定の上明らかである。

また、もしT定の考えに従えば、後述のとおり、ある形状だけの意匠登録が存在する場合に、これと同一の形状の物品であっても、それに目立つ模様が付されており、同物品の製造過程において、その模様が形状よりも先に出来るものでさえあれば、同物品の製造販売は右意匠権を侵害しないということに帰するから、かような意匠権者としては、その権利の保をうけるために一々数限りなく存在しうるや色彩を限定して出願しなければならないこととなって、だ不合理である。

してみれば、形状だけの意匠において余白の部分は、模様、色彩の限定はないとするのが相当である。

(4) なお、T定は、右のような形状だけの登録意匠と、これと同一の形状であるが目立つ模様の付された意匠とは、別意匠と取扱うのが、古くからの特許庁の立した取扱である。としているが、これと右の解釈とは何らするものではない。

即ち、形状だはの意匠は、形状についての

特許と企170 83年2月 55

創作思想を開示するにとどまり、模様や色彩については何らふれるところがないから、後に新規な模様を創作した考は、たとえ右の登録意匠と形状が同一であっても、別意匠として出願することができ、また、これに対応して、右の模様に新規性ないし創作性が認められれば、別個の意匠権を付与されて然るべきだからである。

しかし、かような後願の意匠が登録されうることと後述の先意匠との利用関係の有無は別個の問題である。かような場合にも、後願意匠権と先願意匠権の調整の問題が残り、そのような場合のためにこそ意匠法26条の規定が存在するからであろ。

以上(1)ないし(4)に詳細に述べた理由により、この点に関するT定を採用することはできない。

第5 利用関係について

1. 本件登録意匠弄の形状と債務者製品のそれとが類似することは先に述べたとおりであるところ、一万、債務者製品に多種多樣な模様、色彩が范されていろことは前掲検甲第2.第4号証、検乙第9ないし第18号証などかららかであろ。

ところで、意匠法25条の規定の旨は、単に先願意匠権と後願意匠権との調整の場合に限らず、先願意匠権と未登録の意匠の調整のにも及ぼされるものと解されるところ、同条にいう「利用」とは、この点に限っていえば、後願の登録(未登録)意匠を実施すれば、他人の先願の登録意匠もしくはこれに類似する意匠を全品実することとなるが、逆に先願登録意匠もしくはこれにする意匠を実施しても後願登録(未登録)意匠の全部実施とはならない関係を指すとするのが相当である。

これを本件についてみるのに、債務者製品の製造は本件登録意匠(の形状)に類似する意匠を全面実施したことになり、逆に本件登録意匠群に類似する意匠を実施しても、(多種多様の、色彩のされた)債務者製品の意匠の全面実施とはならない

56 特許と企170 83年2月

違法判決に対する見解

この判決をなした裁判官は、意匠法を全く理解していないか、相手方の主張のみを聞き、当方の主張を全く無視し、特許庁で与えた本件意匠権の権利潰しをやっているのである。

しかもこれだけの判決のため、一審五年、決審後、判決迄二年半を要した。

第二審も約五年、審決後一年を要したのであります。

この事実から考えても、これは正常なる裁判ではないのである。

その理由一

坂本瓦の実用新案を引合に出して、本件意匠の新規性がないと言っているが、これが真実であれば、本件意匠は登録を拒絶され、以後二回の無効審判で無効になっている筈である。

その理由二

表面、裏面とも釘孔以外の模様も、立体模様もない点をB意匠、C意匠の要部とみるべきであると云っているのであるが、これが真実であるなら別紙本件図面の通りA意匠も、B意匠も、この点は全く同じである。

同じであれば意匠法から言って、同じ意匠が同時に二っ登録される筈がないのであり、それは類以意匠でなく独立意匠として二件が、同時に二っ登録されている。

しかも軒瓦も同時に登録されているのである。

そうだとすると判決で言う無模様は関係なく、A、B、C、の三件の形状が、三件とも相違するから登録されたのであり、登録後も二回に亘り、そのことを特許庁に資料として、無効審判をなしているのであるが、その審決は、その申立を退けているのである。

この事実は、まさに本件が形状の意匠であることを立証して余りあるものである。

その理由三

B意匠、C意匠は「通常の使用状態においては、かわらの表面が最も看者に注目される部分である。又覆板が看者の注意を引くとは認められない。」と言っているのであるがこれは、屋根瓦の中央部に使用する身瓦と本件袖瓦をすりかえているか、又は混同しているのである。

身瓦は判決の通り表面しか見えてないのである、しかし添付写真と図面を見てもわかるように、通常の使用状態では人の目の高さから見れば、表面は殆んど見えない袖瓦の袖部の側面しか見えないのである。

表面を見ようとすれば、屋根の上にあがるか、ヘリコプターにでも乗って上から見なければ見えないのである。

そうだとすると、袖瓦は袖部の側面が瓦の顔である、瓦の要部である。

その理由四

「B意匠、C意匠における瓦の表面、裏面の占める面積の大きさ」言々と言っているのであるが、これは意匠法で言う「視覚を通じて美感を起させるものをいう」と物理を無視したものである。

判決で言う立体模様は多少の差はあるが巾一五ミリ、その高さは三ミリ程度である。

これに対して本件意匠の覆板の大きさは、約七〇ミリ位不等辺角形になっているのである。しかもその厚さは一五ミリ程度あるのである。又、瓦は通常の使用において、模様を色わけすることは殆んどなく、すべて一色である。

従って数十米離れて見れば、模様のあるないは見わけがつかないのである。

しかし、本件意匠の覆板は、一〇〇米位離れた処でもそのあるなしは見分けがつくのである。

この事実を無視するなれば、判決に言うように本件意匠が表面に釘孔があるとか、裏面に模様があるとかないとか論ずるに足りないのである。

まさに頭かくして尻かくさずであり、本未転倒の議論も最だしたいのである。

その理由五

結論として、本裁判は速やかに意匠法で言う、視覚を通じた通常の使用状態など事実調べを実施することが肝要である、机上の議論のみでは上記の如く、あやまった判決になる恐れがあると思料されるものである。

(添付図参照)

<省略>

平成3年10月15日 神前一郎作図

<省略>

平成3年10月15日 神前一郎作図

<省略>

平成3年10月15日 神前一郎作図

無審理判決に対する意見書

さる十月二日の法廷に於いて当方からの証人調べの申立をなした。その理由は第二決審後相手方から申立た無効審判の審決が出て当方が勝ったのであるしかるに判決ではその事は一切無視して、これにはふれず、反対に当方が負けているのである。

この裁判と無効審判の内容と争点は一〇〇%同じである。特許庁が無効でないと言っているのに、裁判所では無効と言っているのであるから、これ程矛盾はないのである。

これに対し、相手方の村山弁護士は裁判官に向かって特許庁は一旦登録した意匠権は容易に無効にしないのであるから、無効にならなかったからと言って、本件とは全く関係はないのであると言った。裁判所は、この言葉を信用して当方の証人調べの申立を不採用にしたのである。

特許法も、裁判法も、日本の法律であり、同じく扱うのが当然ではないか、相手方はこの無効審判のため昭和五一年第一回の申立から平成三年二月二二日第二回審決迄正味一五年間の才月を要して、その間弁理士、弁護士等約一〇名を使い莫大なる費用を使っていると思われるのである。

本件裁判と無関係であれば相手方は何の目的で、そんな無益なことをしたのであろうか、しかも裁判所がこれ程重大なる特許庁の審決にほうかんむりをして、何等の説明もしていないのである。

意匠権は特許庁で生まれたものであるから、誰が考えても特許庁が一番よく分かっているのであり、日本の特許庁は世界一の正確さであると言われている。

「裁判所は専門分野でないしかも、この判決は、当方の四年間に及ぶ審理中に提出した資料も、証人調べに対しても殆んど目を通されていないと思われその理由も書かず、一年間位放置して当方から請求すると仕方なく三日間位でB4の用紙三枚位の判決文を書いているのである。

本当に当方の権利が存在しないであれば、五年も一〇年もかかる理由はなく半年か一年で判決は出た筈である。」

又、当方の意匠権を相手方が侵害している事実についての判断は別紙表の通りこれ迄二六名の心証を得て相手方の仮差押工場の検証、帖簿の提出命令の決定をなしているのである。

判決が正しいとすればこの二六名の裁判官の判断はすべて間違っていたことになるのである。

当方がこの裁判で主張していることと、二六名の裁判官に申し立てた資料の内容は全く同じものである。

当方は何等の詐為はなしていないのである。裁判所はそれ程不正確な所であるか、同一案件で同じ裁判所で、裁判官が変われば正反対に判断が変わるとすれば、国民は何を頼りにすればよいかと言うことである。

一〇年も続いた裁判であり後半年や一年位を急ぐ必要はない、公平正当なる判決を望むものである。

更に今回の判決については前二回の判決の通り本件意匠が無模様の意匠であると言うのであれば、同じ平S形の無模様の瓦が三ヶ同時に独立意匠として登録されたかについて、その理田の説明を求める。誰が考えても同じ平S形の瓦であっても本件意匠は軒両袖と三ヶとも形が相違するから三ヶ登録されたものであり前二回の判決でいう無模様の意匠とは裁判官の誤りであり真実は形状の意匠であることは明白である。

前二回の判決では、この件に関して相手方の反論は全くなく判決の中にもその理由の説明は一切ない。

今回の判決については必ずその説明を求めるものである。

無模様の意匠が本当であれば一ヶを残して二ヶを無効にしなければ意匠法に反するのである。

相手方はそれをよく知っているから一番肝心なところを反論しないのである。

各裁判所が本件意匠権の侵害に関する当方の疎明に心証を得て決定した仮差押、証拠保全、文書提出命令の事件名

各地方裁判所における証拠保全事件

一、昭和五八年(モ)第七四号 相手方 畑野建材工業(資) 熊本地方裁判所八代支部 裁判官 豊田圭一

二、昭和五八年(モ)第四八一号 相手方 (資)宮崎理想瓦工業所 宮崎地方裁判所 裁判官 横山秀憲

三、昭和五八年(モ)第四八号 相手方 (有)田原坂瓦工場 熊本地方裁判所山鹿支部 裁判官 酒句武久

四、昭和五八年(モ)第二八号 相手方 松本セメント瓦工場松本昭光 熊本地方裁判所天草支部 裁判官 岡安広

五、昭和五八年(モ)第三〇号 相手方 阿蘇りんどう瓦協業組合 熊本地方裁判所宮地支部 裁判官 仲戸川隆一

六、昭和五八年(モ)第七五号 相手方 吉川産業(有) 熊本地方裁判所八代支部 裁判官 豊田圭一

七、昭和五八年(モ)第六三五号 相手方 (有)緒方進化瓦工業所 熊本地方裁判所 裁判官 丸地明子

八、昭和五八年(モ)第六二〇号 相手方 (有)須々美瓦屋 熊本地方裁判所 裁判官 丸地明子

九、昭和五八年(モ)第六三四号 相手方 (有)青木工業所 熊本地方裁判所 裁判官 丸地明子

一〇、昭和五八年(モ)第六一九号 相手方 つぼみ瓦工業(資) 熊本地方裁判所 裁判官 丸地明子

一一、昭和五八年(モ)第七四号 相手方 (有)川畑瓦工業 鹿児島地方裁判所鹿屋支部 裁判官 清光博

一二、昭和五八年(モ)第五三三号 相手方 (株)植木セメント工業所 大分地方裁判所 裁判官 陶山博生

一三、昭和五八年(モ)第八号 相手方 金スレート(株) 大分地方裁判所豊後高田支部裁判官 桑江好

一四、昭和五八年(モ)第九号 相手方 川野正美 大分地方裁判所豊後高田支部裁判官 桑江好

一五、昭和五八年(モ)第五七二号 相手方 久松セメント瓦工場 大分地方裁判所 裁判官 山下郁夫

一六、昭和五八年(モ)第五五六号 相手方 崎セメント工業(株) 大分地方裁判所 裁判官 原村憲司

一七、昭和五八年(モ)第二六号 相手方 人吉第一セメント瓦工業 熊本地方裁判所人吉支部 裁判官 木下太郎

一八、昭和五八年(モ)第七四号 相手方 佐藤産業(有) 鹿児島地方裁判所加治木支部裁判官 日野忠和

一九、昭和五八年(モ)第八一号 相手方 島中産業(有) 鹿児島地方裁判所加治木支部裁判官 日野忠和

二〇、昭和五八年(モ)第七八号 相手方 今川政盛 鹿児島地方裁判所加治木支部裁判官 日野忠和

二一、昭和五八年(モ)第七五号 相手方 (有)東国算産業 鹿児島地方裁判所加治木支部裁判官 日野忠和

二二、昭和五八年(モ)第七六号 相手方 (名)後飯塚セメント瓦工場 鹿児島地方裁判所加治木支部裁判官 日野忠和

二三、昭和五八年(モ)第七三号 相手方 (有)丸高セメント瓦工場 鹿児島地方裁判所加治木支部裁判官 日野忠和

二四、昭和五八年(モ)第八六九号 相手方 坂本セメント工業坂本政行 大分地方裁判所 裁判官 陶山博生

二五、昭和五八年(モ)第八七〇号 相手方 大分屋根材協同組合 大分地方裁判所 裁判官 陶山博生

二六、昭和五八年(モ)第八七一号 相手方 (株)大菱産業 大分地方裁判所 裁判官 陶山博生

二七、昭和五八年(モ)第三六号 相手方 大木三一 大分地方裁判所佐伯支部 裁判官 大淵武男

二八、昭和五八年(モ)第五〇号 相手方 平山セメント瓦工業(有) 鹿児島地方裁判所川内支部 裁判官 丸藤道夫

二九、昭和五八年(モ)第五三号 相手方 南国S型スレート工場 鹿児島地方裁判所川内支部 裁判官 丸藤道夫

三〇、昭和五八年(モ)第五二号 相手方 井上建設 鹿児島地方裁判所川内支部 裁判官 丸藤道夫

三一、昭和五八年(モ)第二五号 相手方 加藤ブロック工業所 大分地方裁判所杵築支部 裁判官 永田誠一

三二、昭和五八年(モ)第二六号 相手方 福永武一 大分地方裁判所杵築支部 裁判官 永田誠一

御庁における仮差押事件について

一、昭和五七年(ヨ)第 号 債務者 大分県真玉町 山内スレート工場 不明

二、昭和五八年(ヨ)第五号 債務者 熊本県八代市 (有)日進セメント工業所 裁判官 近下秀明

三、昭和五八年(ヨ)第六号 債務者 鹿児島県川内市 (有)日新瓦工場 裁判官 近下秀明

四、昭和五八年(ヨ)第七号 債務者 熊本県冨合町 (株)寺本瓦工業所 裁判官 近下秀明

五、昭和五八年(ヨ)第一一号 債務者 鹿児島県川内市 里園弘 裁判官 渡辺了造

六、昭和五八年(ヨ)第一六号 債務者 鹿児島県竺人町 原口高圧瓦(株) 裁判官 近下秀明

七、昭和五八年(ヨ)第三一号 債務者 鹿児島県隼人町 原口高圧瓦(株) 裁判官 渡辺了造

八、昭和五八年(ヨ)第五七号 債務者 鹿児島県宮城町 新改瓦工業 裁判官 渡辺了造

九、昭和五八年(ヨ)第五八号 債務者 鹿児島県樋脇町 大田セメント瓦工業大田 裁判官 渡辺了造

一〇、昭和五八年(ヨ)第六七号 債務者 鹿児島県田町 (有)瀬戸口瓦工場 裁判官 渡辺了造

一一、昭和五八年(ヨ)第 号 債務者 鹿児島県串木野市 西岡重人 裁判官 渡辺了造

一二、昭和五八年(ヨ)第一五四号 債務者 熊本県水俣市 (資)松田セメント瓦工場 裁判官 渡辺安一

一三、昭和五八年(ヨ)第一五五号 債務者 熊本県芦北町 佐敷セメント瓦工業所工木ツタニ 裁判官 渡辺安一

一四、昭和五八年(ヨ)第一五六号 債務者 熊本県小川町 吉富製品販売(資) 裁判官 渡辺安一

一五、昭和五八年(ヨ)第一五七号 債務者 熊本県三角町 宮田プレス瓦 宮田正巳 裁判官 渡辺安一

一六、昭和五八年(ヨ)第一五号 債務者 鹿児島県栗野町 今川政盛 裁判官 近下秀明

一七、昭和五八年(ヨ)第一六〇号 債務者 鹿児島県大口市 (名)後飯塚セメント瓦工場 裁判官 中村隆次

一八、昭和五八年(ヨ)第一四二号 債務者 鹿児島県栗野町 今川政盛 裁判官 日高乙彦

一九、昭和五九年(ヨ)第二五九号 債務者 熊本県長陽村 阿蘇りんどう瓦協業組合 裁判官 増田耕児

二〇、昭和五九年(ヨ)第二四六号 債務者 鹿児島県姶良町 (有)丸高セメント瓦工場 裁判官 増田耕児

熊本地方裁判所三角支部の仮差押事件

一、昭和五九年(ヨ)第七号 債務者 熊本県三角町 宮田プレス瓦 宮田正巳 裁判官 榎木義康

前記事件の審理中に意匠権侵害を前提とした文書提出命令

一、昭和五八年(モ)第七八号、第九二三号、第九二五号

被告 (有)日進セメント工業所、佐数セメント瓦工業、吉富製品販売(株)

昭和五九年二月八日 福岡地裁小倉支部 裁判長 裁判官 鍋山建

〃 渡辺安一

〃 波辺了造

二、昭和五八年(ワ)七五五号

原告 (有)緒方進化瓦工業所外二三名

昭和六〇年二月二一日 福岡地裁小倉支部 裁判長 裁判官 日高乙彦

〃 大石

以上右記の通り仮差押事件・証拠保全事件で決定した裁判官は二六名となります。

<省略>

一、上告人は、上告理由として弁理士牛木理一の意見書を援用します。

(意見書省略)

以上

意匠公報

<省略>

意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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意匠公報

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