最高裁判所第三小法廷 平成9年(オ)1927号 判決 2000年3月21日
上告人
門前仲町東豊エステート管理組合
右代表者理事長
金井福雄
右訴訟代理人弁護士
中村浩紹
被上告人
田坂教子
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人中村浩紹の上告理由について
原告が適法に確定した事実の概要は、次のとおりである。
1 本件建物の七〇七号室の台所、洗面所、風呂、便所から出る汚水については、同室の床下にあるいわゆる躯体部分であるコンクリートスラブを貫通してその階下にある六〇七号室の天井裏に配された枝管を通じて、共用部分である本管(縦管)に流される構造となっているところ、本件排水管は、右枝管のうち、右コンクリートスラブと六〇七号室の天井板との間の空間に配された部分である。
2 本件排水管には、本管に合流する直前で七〇八号室の便所から出る汚水を流す枝管が接続されており、七〇七号室及び七〇八号室以外の部屋からの汚水は流れ込んでいない。
3 本件排水管は、右コンクリートスラブの下にあるため、七〇七号室及び七〇八号室から本件排水管の点検、修理を行うことは不可能であり、六〇七号室からその天井板の裏に入ってこれを実施するほか方法はない。
右事実関係の下においては、本件排水管は、その構造及び設置場所に照らし、建物の区分所有等に関する法律二条四項にいう専有部分に属しない建物の附属物に当たり、かつ、区分所有者全員の共用部分に当たると解するのが相当である。これと同旨の原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官金谷利廣 裁判官千種秀夫 裁判官元原利文 裁判官奥田昌道)