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最高裁判所第三小法廷 昭和22年(れ)317号 判決 1948年7月06日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人手代木隆吉提出上告趣意は末尾添附別紙記載の通りである、以下其の各點に付き理由なき所以を説明する。

第一點に付て

裁判所は人の精神状態を認定するのに必ずしも專門家の鑑定等による必要なく他の證據によって認定しても差支えない、而して心神耗弱とか心神喪失とかいうことは刑事訴訟法第三百六十條にいう處の罪となるべき事実ではないからこれを認定した證據の説明をする必要はない、所論は畢竟原審の適法な證據調の限度事実の認定に關する專權行使を批難するもので上告の理由とならない。

第五點に付て

所論改正刑法施行以前に第二審判決が爲された事件に付ては所論執行猶豫に關する改正は其の適用のないものであること既に當裁判所の判例とする處である(昭和二十三年六月二十二日言渡同二十二年(れ)第三三九號事件判決)、論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

以上は當小法廷裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 庄野理一 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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