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最高裁判所第三小法廷 昭和23年(れ)1178号 判決 1948年12月24日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人横田隼雄、同菅沼利雄の各上告趣意は末尾添附の書面記載のとおりであって、これに對する當裁判所の判斷は次のとおりである。

辯護人菅沼利雄の上告趣意について。

辯護人は論旨一、二において、本件の主犯は藤田秀俊であって、被告人は同人より匕首を渡され被害者落合敏雄を呼び戻すよう命ぜられたのである。原審の辯護人は右の事実を明かにするため藤田秀俊を證人として訊問すべきことを請求したのに拘らず原審がその取調をしなかったのは審理不盡の違法があると主張している。しかし、記録を調べてみると、原審は辯護人の請求により藤田秀俊を證人として訊問することを決定し、同人を公判期日に召喚したが出頭しなかったので公判を續行して更に召喚したに拘らず同人は再び出頭しなかったため辯護人は同人に對する證據調の請求を抛棄したことが明かである。辯護人の請求により證據調の決定をした場合に右の決定は辯護人の請求がその前提となっているのであるから辯護人がその請求を後に抛棄したときには裁判所は特にその證據決定を取消さず取調をしなかったからといって刑事訴訟法第四一〇條第一三號に違反するものではない。元來、證據調の限度を決することは事実審たる原審の自由裁量に屬するところであって、原審は所論の事実を明かにするため他の證據調を行っているのであるから原審には所論のような違法はなく論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって刑事訴訟法第四四六條に従い主文のとおり判決する。

以上は裁判官全員の一致した意見である、

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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