最高裁判所第三小法廷 昭和23年(オ)36号 判決 1948年9月14日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告理由は末尾添附別紙記載の通りである。
しかし原審の認定した処によれば、選挙管理委員会の書記は委員長が任命することになつて居るものであるのに、原正則が投票用紙交付の事務を行つたのは、当日投票用紙交付事務の繁忙と手薄とを見兼ね、選挙事務員町田聖江の依頼により自発的に僅々二〇分間ばかり手伝つたに過ぎないというのであるから、これを以て書記といえないこと勿論である、次ぎに町村制第一五条第三項の論旨摘録の部分は「選挙に関係ある官吏及町村有給の吏員」と明に具体的に規定して居るので、これあるが故に、同規定列挙のものは例示的のものと見なければならないという理由はない、原審が其認定した事実に基づき、原正則は同規定に該当しないものと判断したのは相当である、故に論旨は理由がない。
よつて民事訴訟法第四〇一条、第九五条、第八九条に従い主文の如く判決する。
以上は当小法廷裁判官全員一致の意見である。
(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)