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最高裁判所第三小法廷 昭和24年(れ)42号 判決 1949年5月31日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人吉田秀松辯護人野口政治郎の上告趣意第四點について。

本件の原審公判手續に於ては、論旨に記載するように第一回公判期日に被告人吉田の辯護人不出頭のまゝ所論のように審理を進行した違法のあることは論旨指摘のとおりである。しかしながら、第二回公判期日においては辯護人立會の下に公判が開かれ、その手續が更新されたことは記録によって明かである。元來、公判手續の更新とは、公判の審理を最初から遺り直すことであって、前回の公判の續行ではない。判決の基本となるのは、前回の公判の審理ではなく、更新後の公判の審理なのである。從って更新前の公判手續に所論のような瑕疵があったとしても、それは舊刑訴法第四一〇條第一〇號若しくは第一一號の場合に該當するものではない。されば、所論の違法は原判決に影響を及ぼさないことが明白であるから、上告の理由とすることができず、原判決には論旨に主張するような違法はない。それ故、論旨は採用することができない。(その他の判決理由は省略する。)

よって最高裁判所裁判事務處理規則第九條第四項、舊刑訴法第四四六條に從い主文のとおり判決する。

以上は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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