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最高裁判所第三小法廷 昭和24年(れ)553号 判決 1949年5月24日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人杉若惣一郎の辯護人佐々木良一、同坂野英雄上告趣意第一點、同被告人の辯護人片山通夫の上告趣意第二點について、

所論の公職に關する就職禁止、退官退職等に關する改正勅令第一五條第一項は、候補者の届出又は推薦届出に關する連署行爲自體を候補者の推薦届出と同様に取扱い、これを政治上の活動に含めたことは同條の文理解釋上明かである。しかも、同條の規定の趣旨は、覺書該當者自身の政治上の活動行爲を禁止するにあるのであるから、いやしくも覺書該當者が公選による公職の候補者の届出又は推薦届出に關する連署をした以上、政治上の活動を行ったものであって、その連署について覺書該當者でない第三者の行爲である届出がなされたかどうか、その連署が後日取消されたかどうかは、犯罪の成否には關係がなく、從って犯罪の構成要件を組成する事実ではないのである。

されば、原審が被告人の署名捺印した推薦連署表が教育委員候補者楠本圓一郎の推薦届出に添附使用されたことを判示しなかったからといって、原判決には所論のような理由不備の違法はない。また、原審が吉田房吉の證人訊問と推薦連署表の取寄せ請求を却下したからといって、犯罪の成否に重要な關係ある事項について審理を盡さなかったものではなく、その他所論のような違法があるものでもない。それ故、論旨は理由がない。

(その他の判決理由は省略する。)

よって、最高裁判所裁判事務處理規則第九條第四項舊刑訴法第四四六條に從い主文のとおり判決する。

以上は、裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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