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最高裁判所第三小法廷 昭和24年(れ)613号 判決 1949年8月09日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

弁護人尾関義一の上告趣意第二点について。

しかし旧刑訴第四〇三條の規定は、同條に定められた控訴事件につき、判決主文の刑即ち判決の結果を原判決の結果に比して被告人の不利益に変更することを禁ずるに止まり、それ以上の制限を加える趣旨を含まない(昭和二三年(れ)第一〇〇八号同年一一月一八日第一小法廷言渡最高裁判所判決参照)。控訴審の裁判所がその良心に從うて真実に合する事実を認定し、これに対して正当と信ずる法律を適用すべきことはいうまでもないことであって、ただ刑の量定について右の制限を受けるに過ぎない。本件についてみれば、原判決は、第一審判決が認定しなかった住居侵入罪を認定したけれども、その言渡した刑は第一審判決の刑と同じく懲役五年であって、それより重い刑を言い渡したのではないから、旧刑訴第四〇三條に違反するものではない。これを違法とする論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する)

以上の理由により最高裁判所裁判事務処理規則第九條第四項及び旧刑訴法第四四六條に從い主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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