最高裁判所第三小法廷 昭和24年(オ)296号 判決 1950年12月19日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人等の負担とする。
理由
上告人代理人荒賀勝平の上告理由は末尾添附別紙記載の通りであり、これに対する当裁判所の判断は次ぎの如くである。
原審の認定した事実によると、上告人等は結局何等の権原なくして被上告人所有の本件家屋を占有する不法占有者だということになる。不法占有者は民法第一七七条にいう「第三者」に該当せず、これに対しては登記がなくても所有権の取得を対抗し得るものであること大審院の不変の判例で、当裁判所も是認する処である。されば、原審が登記の点について判断する処なくして被上告人の請求を是認したのは結局正当で、論旨は上告の理由とならない。
よつて民事訴訟法第四〇一条、第九五条、第八九条に従つて主文の如く判決する。
この判決は、裁判官全員一致の意見である。
(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)