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最高裁判所第三小法廷 昭和25年(あ)492号 判決 1950年12月05日

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人鎌田豊吉の上告趣意について。

所論の事項は原審において控訴趣意として主張されていないのであるから原判決において判断されておらず従ってかかる事項に関する主張は上告理由として許されない(昭和二四年新(れ)第二七二号同二五年五月二日当裁判所第三小法廷判決、昭和二四年新(れ)第四九二号同二五年五月一九日当裁判所第二小法廷判決)。しかのみならず、警察員に対する被告人の弁解録取書によれば、被告人に昭和二四年八月一二日午前九時三〇分弁解の機会を与えた際に警察員は「弁護人を選任することができる旨告げ」たと記載されているのであるから、右告知は一応なされたものと認められる。右記載が印刷の文言であるからといって直ちに右告知の事実がないとは言うことができない。又仮りに、右告知がなされなかったとしても、そのことだけでは上告の理由とならないことは当裁判所の判例の示すとおりである(昭和二三年(れ)第六一号同年一一月五日大法廷判決)。それゆえ弁護人の上告趣意はいずれの点から見ても理由がない。

よって、刑訴第四〇八条第一八一条に従い主文のとおり判決する。

以上は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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