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最高裁判所第三小法廷 昭和25年(れ)1852号 判決 1951年4月03日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人本田由雄の上告趣意は末尾添附の書面記載のとおりであってこれに対する当裁判所の判断は次のとおりである。

第一点について。

然し、判示第二の強盗予備罪の行為主体は被告人及び原審相被告人寺倉初男、内田達也の三人であり、判示第三の強盗既遂罪のそれは被告人及び原審相被告人杉山金一郎、同寺倉初男の三人であって、両者はその行為主体を異にするのみならず、原判決は右両者は各別の意思決定に基くものであると認定したことその引用の証拠に徴し明らかであるから、両者がたとえその被害者を同一にしても前者が後者に吸収せらるべき筋合でない。従って原判決が両者を各別に処断したことは相当であって論旨は理由がない。

第二点について。

原審公判調書によれば原審公判廷において弁護人から所論の事実について主張された形跡はないのであるから原判決がこれに対し判断を示めさなかったことにもとより何等の違法なく論旨は理由がない。

第三点について。

所論は量刑不当又は事実誤認の主張であって適法な上告理由とならない。

よって旧刑訴法四四六条に従い全裁判官一致の意見により主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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