最高裁判所第三小法廷 昭和27年(あ)5116号 決定 1954年3月23日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人深沢貞雄、同星清の上告趣意は、末尾に添附の別紙記載のとおりである。
同第一点について。
刑訴三〇一条違反の主張であるが、昭和二五年(あ)第八六五号同二六年六月一日第二小法廷判決のとおり同条は必ずしも犯罪事実に関する他のすべての証拠が取調べられた後という意味ではなく自白を補強しうる証拠が取調べられた後であれば足るのであり共同被告人の検察官に対する供述調書は本件被告人との関係においては刑訴三〇一条の「犯罪事実に関する他の証拠」に当るものと解すべきであるから本件においては所論の違法は認められない。
同第二点について。
事実誤認の主張であり刑訴四〇五条適法の上告理由に当らない。(のみならず本件において占有に関する原審の判示は相当であって何等違法も認められない。)
また記録を調べても本件につき同四一一条を適用すべきものと認められない。
よって、同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)