最高裁判所第三小法廷 昭和27年(あ)6096号 判決 1954年4月06日
本籍並びに住居
長野県小県郡川辺村大字下之条六三八番地
農業
上原正治
明治二九年三月二〇日生
右の者に対する窃盗、酒税法違反被告事件について昭和二七年三月三一日東京高等裁判所の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人木内五助の上告趣意第一点について。
論旨援用の判例中、(一)の最高裁判所判例は、醗酵前に発覚した場合でも醪製造罪の成立することを肯定した事例であつて、原判決は何等これに相反する判断をしているものではない。論旨援用のその余の高等裁判所判例については、原判決が如何なる趣旨でこれ等の判例に反するかの具体的説明を欠いているから、判例違反として不適法である。
同第二点について。
事実誤認及び量刑不当の主張であつて、適法な上告理由とならない。
また記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四〇八条により主文のとおり判決する。
この判決は、裁判官全員一致の意見である。
(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)