大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和27年(オ)636号 判決

上告人(原告) 木村小彌太

被上告人(被告) 青森県選挙管理委員会

一、主  文

原判決中上告人に関する部分を破棄する。

被上告人が、昭和二六年四月二三日行われた青森県三戸郡五戸町議会議員一般選挙の当選の効力に関し、同年九月一九日した訴願裁決中上告人に関する部分を取り消す。

上告人に関する訴訟の総費用は被上告人の負担とする。

二、理  由

本件上告理由は別紙記載のとおりである。

記録に徴するに、被上告人青森県選挙管理委員会は、昭和二六年四月二三日行われた同県三戸郡五戸町議会議員選挙の当選の効力に関し、同年九月一九日附をもつて、本件選挙の投票中いわゆる潜在的無効投票一〇票を混入していたことを理由として、高奥米吉、豊川武之助及上告人の三名の当選を無効とする旨の訴願裁決をし、右三名は右訴願裁決の取消を求めて本訴を提起したところ、原判決は六票の潜在的無効投票を認定して、訴願裁決中右高奥、豊川に関する部分を取り消し、その余の請求を棄却したのであつて、上告人の当選を無効と判断した趣旨であること明白である。

しかるに、昭和二七年八月法律第三〇七号により加えられた、公職選挙法二〇九条の二は帰属不明の無効投票があることの判明した場合について、「当該選挙管理委員会又は裁判所は第九十五条(当選人)の規定の適用に関する各候補者の有効投票の計算については、その開票区ごとに、各候補者の得票数から、当該無効投票数を各候補者の得票数に按分して得た数をそれぞれ差引くものとする。」と規定し、同改正法附則但書は、右二〇九条の二の規定を現に係属している訴訟にも適用することを規定しているので、これと異る判断により上告人の当選を無効とした原判決は、結局違法に帰し破棄を免れない。そして原判決が当事者間に争のないものとして確定した各候補者氏名及得票数によれば、かりに本件訴願裁決認定のとおり一〇票の潜在的無効投票があつたとしても、前記改正法二〇九条の二によつて上告人の当選が無効となるものでないことは計数上明白である。すなわち、本訴は原判決の確定した事実に基いて判決をするに熟するから、本件訴願裁決中上告人に関する部分もまた取消すべきものである。

以上、説明のとおりであるから、民訴四〇八条、九五条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判官 井上登 島保 河村又介 小林俊三 本村善太郎)

上告代理人弁護士森田重次郎の上告理由

本件係争目的となつている当選無効の訴訟は、結局潜在無効投票の処理方法についての争なのであつたが、右処理方法については訴訟提起当時の基準となつた法規が過般の議会に於て改正され、而もこれに関しては前の選挙の争となつている訴訟中のものに付いても遡及してこれを適用する規定となつているのであり、右の改正によれば本件係争内容たる上告人の地位は当然当選人となるべきものであるから本件は破毀せらるべきものであると信ずる。

本論点はもとより法の立前上裁判所の職権調査事項に係るものと信ずるが、念のためこれを論点として取り上げた次第である。 以上

上告代理人弁護士森田重次郎の上告理由

さきに提出した上告理由書(趣意書とあるは誤記につき訂正する)は極めて簡明に過ぎたので、その論旨とする潜在無効投票に関する法規の改正について之を補充し、之を明確にする。

論旨にある「法規が過般の議会に於て改正され」とあるは、公職選挙法の第二百九条の二に就て指摘したものであり、又「これに関しては前の選挙の争となつている訴訟中のものに付いても遡及してこれを適用するの規定となつている」とあるは「附則」の2の「改正後の公職選挙法第二百九条の二の規定は、前項の規定にかかわらず、この法律の公布の日から施行する。但し、従前の公職選挙法の規定による当選の効力に関する争訟でこの法律の公布の日において現に選挙管理委員会に係属している異議の申立若しくは訴願又は裁判所に係属している訴訟についても適用する。」を指摘しているものである。

右第二百九条の二の規定により本件争訟に於けるように有効投票に算入され、且その帰属が不明な投票がある場合に於ては、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分して得た数をそれぞれ差引くものであるから、「原告の得票が次点者の得票数より少くなり、同人を当選者と決定することはできない」とした原判決は、判決後公布された法律の改正により是正破毀されねばならないとする論旨である。

以上

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