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最高裁判所第三小法廷 昭和27年(オ)910号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔要旨〕借地権を有する会社の全株式が譲渡され、役員も一変し、借地権に対する事実上の支配関係が変更された場合であつても、右株式の譲渡等が、賃貸人の承諾なく借地権を譲渡するための脱法手段としてなされたのでない限り、民法第六一二条を類推適用すべきではない。

〔説明〕上告人は被上告会社に本件宅地を賃貸していたところ、被上告会社は戦災のため、資産としては焼け残りの機械類、電話加入権および右宅地の借地権の外はみるべきものがなく、事業休止の状況にありかつ再建の見込も立たなかつたので、当時の株主らは全株式を新株主らに譲渡し、よつて新株主らは旧役員に代えて新役員を選出し、会社の目的も新株主らが従前業としていた事業に変更し、その新事業の用に供するため右宅地に建物を建設した。以上が原審認定の事実である。そして被上告会社の借地権確認の請求に対し、上告人は、被上告会社は法人格は前後同一であつても、前記株式の譲渡その他の一連の行為は実質的には本件借地権の讓渡行為に外ならないから、民法六一二条を類推適用すべく、借地権の無断譲渡を理由としてなした上告人の解除の意思表示は有効であつて、被上告会社はすでに借地権を有しない、と抗争した。

原審は、被上告会社の法人格が同一である以上民法六一二条の類推適用の余地はないとの理由で、右抗弁を排斥し被上告会社の請求を認容した。

上告理由は、原審が脱法行為であろうとなかろうと民法六一二条の適用がないとしたのは不当である、というにあつた。

最高裁は、もし上告人主張の如く脱法行為と認むべきであるなら民法六一二条の類推適用を相当とすべき場合がないとはいえないことを認めつつ、原判決の趣旨は脱法行為とは認めなかつたもので、かつ右判断に違法の点はないから、所論は結局理由なしと判示した。

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