最高裁判所第三小法廷 昭和28年(あ)3777号 判決 1955年7月12日
本籍
鳥取市賀露町一二七七番地
住居
同市東品治町二四三番地
無職
利雄こと
諸寄敏雄
明治四四年三月二八日生
本籍
鳥取県西伯郡大国村大字原三七三番地
住居
鳥取市川外大工町二番地
屑物商
石持久一
明治二八年三月一四日生
右両名に対する各食糧管理法違反被告事件について昭和二八年七月一三日広島高等裁判所松江支部の言渡した判決に対し各被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用(国選弁護人に支給した分)は被告人諸寄敏雄の負担とする。
理由
被告人諸寄敏雄の弁護人橋本順の上告趣意第一点については、裁判が迅速を欠き憲法三七条一項に違反したとしても、それは判決に影響を及ぼさないことが明らかである(昭和二三年(れ)第一〇七一号、同年一二月二二日大法廷判決、刑事判例集二巻一四号一八五三頁参照)から、かかる違憲の主張は上告理由として採ることができない。同第二点は違憲をいうけれども、その実質は単なる訴訟法違反の主張であり、被告人石持久一並びにその弁護人花房多喜雄の各上告趣意はいずれも量刑不当の主張に外ならないから、すべて刑訴四〇五条の上告理由に当らない(合議体の裁判所の判決書には、必ずしもすべての裁判官がその作成日附の日に署名押印しなければならないものではない)。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 本村善太郎 裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 垂水克己)