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最高裁判所第三小法廷 昭和28年(あ)5133号 決定 1955年10月18日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人花岡隆治の上告趣意について。

論旨第一点は事実誤認、採証法則違反ないし経験則違背の主張、同第二点は、事実誤認、採証法則違反の主張(原判決挙示の各証拠を綜合すれば被告人は賍物たるの情を知っていたとの推認ができる)、同第三点は単なる法令違反の主張であって、いずれも適法な上告理由とならない。

なお、本件真鍮棒及び単軸受真鍮製メタルが古物であることは原判決挙示の証拠によって明らかであるところ、古物の売買については、古物営業法一条二項の古物商に対してのみならずその従業者に対しても、同法一六条及び二九条が適用せられることは、同法三三条によって明らかである。従って古物商を営む養子加藤高助の従業者たる被告人が同法違反の罪に問われたことは当然である。ただ原判決が同法三三条の適用を示さなかったことは違法たるを免れないが、この違法は判決に影響なく、刑訴四一一条により原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない。またその外にも同四一一条を適用すべき事由は認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 河村又介 裁判官 島 保 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎 裁判官 垂水克己)

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