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最高裁判所第三小法廷 昭和28年(し)12号 決定 1953年11月24日

主文

本件特別抗告を棄却する。

理由

本件特別抗告申立の理由について。

所論は原決定の判例違反を主張するけれども、原決定はすこしも所論援用の各判例と矛盾する判断をしているわけではない。また、刑訴四三五条六号に基く再審の請求にあたり、あらたに発見した証拠として証人の取調を求めている場合でも、その再審の請求が理由があるかどうかを判断するために、その証人の取調をするか、又はこれをしないで、趣意書に添えた証拠書類等及び確定事件記録につき必要と認める調査をするにとどめ、あるいはさらにその証人の取調以外の方法による事実の取調をするかは、再審の請求を受けた裁判所の合理的な裁量にゆだねられているものと解すべきである。それゆえ、本件再審の請求を受けた佐賀地方裁判所伊万里支部が、所論立部輝男ほか一名の取調をしないで、再審の請求を理由がないと判断したからといって、何等再審に関する手続法の違背はなく、またそれが所論のように憲法三七条違反の問題を生じるものでないことは、当裁判所大法廷の判例(昭和二三年(れ)八八号同年六月二三日判決、集二巻七号七三四頁。昭和二三年(れ)二三〇号同年七月二九日判決、集二巻九号一〇四五頁)の趣旨に徴して明らかである。従って所論判例違反、憲法違反の主張は、ともに理由がない。

よって刑訴四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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