大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和28年(ク)236号 決定 1953年12月01日

東京都新宿区市ケ谷左内町二九番地

抗告人

窪田金一郎

右代理人弁護士

増岡正三郎

右抗告人は、東京高等裁判所昭和二八年(ラ)第二七四号競落許可決定に対する抗告につき、同裁判所が昭和二八年九月一八日なした抗告棄却の決定に対し、更に抗告の申立をしたので、当裁判所は、裁判官全員の一致で、次のとおり決定する。

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

最高裁判所が抗告に関して裁判権をもつのは、訴訟法において特に最高裁判所に抗告を申立てることを許した場合に限られる。そして民事事件については、民訴四一九条ノ二に定められている抗告のみが右の場合に当ることは、当裁判所の判例とするところである(昭和二二年(ク)第一号同年一二月八日決定参照)。従つて、最高裁判所に対する抗告申立には同四一三条は適用がなく、その抗告理由は同四一九条ノ二によつて、原決定において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断を不当とするものでなければならない。ところが、本件抗告が右の場合に当らないことは、一件記録により明らかであるから、本件抗告を不適法として却下し、抗告費用は抗告人の負担とすべきものとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例