最高裁判所第三小法廷 昭和29年(オ)562号 判決 1955年5月24日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告理由について。
戦時罹災土地物件令四条四項にいわゆる「二月」は、同条の立法の趣旨及び規定の形式から見て、罹災当時の居住者の跡地使用権行使の除斥期間ではなく、土地所有者の権利行使を制限する期間と解するを相当とする。従つてこれと同趣旨の原判示は正当であつて、これと異なる見解の下に、被上告人は建物滅失後二ケ月を経たとき本件土地使用権を喪失したものであると主張する論旨は理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)