最高裁判所第三小法廷 昭和30年(あ)1025号 決定 1957年7月09日
主文
本件上告を棄却する。
理由
被告本人の上告趣意は、事実誤認の主張に帰し、しかも原審において主張判断を受けていない事項に関するから上告適法の理由とならない。弁護人手島真哲の上告趣意は単なる法令違反の主張であって刑訴四〇五条に当らない。なお、指定小売人が一たん消費者に売り渡した所論の製造たばこであっても、公社又は指定小売人でない者が、反覆継続してする意図の下に、これを他に販売する場合は、たばこ専売法二九条二項の規定に違反するものと解するを相当とする。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 高橋潔 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 垂水克己)