最高裁判所第三小法廷 昭和30年(オ)456号 判決 1956年6月26日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告人の補正上告理由について。
原審の確定したところによれば、戸籍簿上の昭和二五年五月二七日本件当事者が協議の上離婚した旨の記載は、被上告人の意思に基かない届出によつてなされたものであつて、離婚は無効であるというのであるから、被上告人は、右戸籍の記載は事実に合致しないものとして抹消を求めなければならず、しかもそれは上告人に対する離婚無効の確定判決を得ることによつてはじめてこれをなしうるのであるから、被上告人は本訴につき利益を有すること明らかであるといわなければならない。このことは、被上告人が上告人に対し裁判上の離婚を求める意思があると否とに関するものではない。
その他の上告理由について。
所論、本件離婚届は当事者双方の意思に合致したものであるという主張を前提とし原判決を非難するのであるが、かかる事実は原判決の認定に反する独自の見解であるから、これに基く主張はいずれも判断する限りでない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 小林俊三 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 本村善太郎 裁判官 垂水克己)