最高裁判所第三小法廷 昭和31年(し)3号 決定 1956年9月25日
主文
本件特別抗告を棄却する。
理由
申立人の抗告理由について。
申立人に対する背任被告事件における公訴事実とその社会的事実関係を同じくする民事訴訟事件についてその審判に関与した裁判官が、その後右背任被告事件について合議体の一員として審判に関与したとしても、ただその一事を以て刑訴二一条一項にいわゆる不公平な裁判をする虞があるものとすることはできないし、又同裁判所を目して憲法三七条一項にいわゆる公平な裁判所でないとすることを得ないことは原判決の判示するとおりであって、このことは当裁判所大法廷判決の趣旨に徴し正当である(昭和二四年新(れ)第一〇四号、同年四月一二日大法廷判決、集四巻四号五三五頁参照)。それ故原決定には何等憲法の解釈を誤った違法はない。
よって、刑訴四三四条、四二六条一項により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 小林俊三 裁判官 島 保 裁判官 垂水克己)