大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和32年(オ)636号 判決 1959年7月14日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人大和重紀の上告理由第一点について。

しかし原判決は、本件土地は被上告人が同人の経営にかかる旅館の収益金をもつて自ら払下を受けたと認定判示して居り、右収益金が当事者のいずれに属するか明らかでないとは判示していないから、所論民法七六二条二項を本件に適用する余地はない。所論はひつきよう原審の適法になした事実認定を非難するものでしかなく、採用するに由ない。

同第二点について。

被上告人が所論のような供述をしていることは記録上窺われるが、右供述があるからといつて所論贈与の事実を認めなければならないわけのものではなく、所論は結局原審の裁量に属する証拠の取捨判断及び事実認定を非難するに帰し、採用に値しない。

同第三点について。

所論の原判示は相当として是認できる。所論は独自の見解に基いて右の判示を論難するにすぎないもので、採用の限りでない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 河村又介 裁判官 島 保 裁判官 高橋潔 裁判官 石坂修一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例