最高裁判所第三小法廷 昭和32年(オ)956号 判決 1958年2月04日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人笠井寿太郎、同古屋貞雄の上告理由第一点について。
論旨は、原判決が昭和三一年三月七日の判示会議は議長の職権によつて閉議された旨認定したのに対し、右会議は開会宣言なく開会されなかつたのであり、閉議されるべき会議はなかつたというのである。しかし、当日会議が開かれた事実は原判決が当事者間に争のない事実として確定していること記録上明らかであるから、所論は原審で争のなかつた事実と異る事実を主張するに帰するから採用すべきかぎりでない。
同第二点について。
論旨は右原審で確定した事実と異る開議のなかつた事実を前提とするものであるから、前提を欠き採用することができない。
同第三点について。
論旨は、原判決が判示六郷町議会会議規則第三九条を誤つて適用した違法があると主張し判示閉議の無効を主張するけれども、原判決の確定した事実関係の下では判示閉議は有効であること第四点において説示するとおりであるから所論は前提を欠き採用するこができない。
同第四点について。
論旨は行政裁判所の判例を引用して本件閉議が無効であり従つてその後に行われた判示議決は有効である旨主張するが、引用の判例は事案を異にし本件に適切でなく、原判決の確定した事実関係の下では判示議長の閉議宣言従つて閉議は有効でありその後に行われた判示議決は無効であること原判決の正当に説示するとおりであり、原判決には所論の違法なく、論旨は理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 垂水克己 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三)