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最高裁判所第三小法廷 昭和33年(オ)320号 判決 1960年11月22日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人塩田親雄の上告理由について。

記録によると、上告人は第一審第一回口頭弁論期日に被告として合式の呼出を受けながら出頭しなかつたため(不出頭理由については届出も疏明もない)、昭和三二年六月二八日敗訴の判決を言い渡されるや、原審に控訴を申し立てた。原審は同年七月二二日本件につき和解を試みるべきことの決定をなし、その受命判事は和解勧告期日を同月二九日と定めたが、同期日において控訴人(上告人)代理人塩田親雄は次回に再度勧告ありたき旨申立て受命判事は和解勧告期日を同年八月一六日に続行することとしたが、同続行期日に至つて和解勧告を打ち切つた。同年九月一八日上告人は原審に人証申立書と題する書面を提出して本件手形の振出に当つては受取人との間に手形支払方法につきこれを融通手形とする旨の特約があつた点について証人として秋田忠昌の尋門を申請することがあつた。原審第一回口頭弁論期日に当事者双方の代理人が出頭し控訴の趣旨の陳述、答弁、事実の陳述をなし、控訴人代理人は右証人秋田忠昌の喚問を申請し、原審は申請を採用し次回に同証人を尋問すべき旨決定し、同年一二月二〇日午前一〇時の第二回口頭弁論期日においては右証人は理由を届出でることなく出頭しなかつたため原審はその取調の決定を取り消し控訴人(上告人)の証拠調申請を却下した上弁論を終結した。右証拠調却下、弁論終結の措置に対しては控訴人代理人は何等異議を挿まずまた弁論再開の請求をもしなかつた。かくて原審は原判示理由により控訴を棄却する原判決を言い渡した。以上の訴訟経過が認められる。

右訴訟経過における上告人側と訴訟態度に照らすときは原審が上告人の右唯一の証拠の申請を却下して上告人の控訴を棄却した原判決は必ずしも所論のような訴訟法違背があるものというに足りない。論旨は採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 垂水克己 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 高橋 潔 裁判官 石坂修一)

《当事者》

上告人 秋田武雄

右訴訟代理人弁護士 塩田親雄

被上告人 合資会社 山本機業場

右代表者代表社員 山本政雄

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