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最高裁判所第三小法廷 昭和33年(オ)643号 判決 1960年4月12日

主文

上告人原林開拓農業協同組合の上告を棄却する。

右上告人に関する上告費用は同上告人の負担とする。

原判決中、上告人小松幹彦、同三觜春雄、同飯塚熊蔵、同木村勇夫、同早川千二らの敗訴の部分を破棄し、本件を仙台高等裁判所に差し戻す。

理由

上告代理人袴田重司の上告理由第一点について。

所論は原審で主張判断のない事項について違法をいうものであり、上告適法の理由と認められない。

同第二点について。

原判決の挙示する甲第一号証の約束手形には、上告組合の振出署名があり、上告組合以外の上告人らの契印した補箋の表面に単なる同上告人らの署名捺印がなされていることが明らかであるから、たとえ保証その他これと同一の意義を有する文字の表示がなくても、手形法七七条三項、三一条三項により同上告人らは、振出人たる上告組合のため手形上の保証をしたものと看做されるのである。それ故原判決が、挙示の証拠によつて判示手形保証の事実を認定したのは正当であつて、この点の所論は採るを得ない。

しかしながら、被上告組合が、本訴において、上告組合以外の上告人らが上告組合と共同して本件約束手形を振出したものであると主張して、これが手形金の支払を請求したものであることは、記録上明らかであるから、原判決が、たやすく右上告人らが手形上の保証人であることを理由として被上告組合の請求を認容したのは、ひつきよう被上告組合の主張の解釈を誤り、申立てない事項によつて判決した違法を免れず、この点の論旨は理由があり、右上告人らに関する部分は破棄を免れない。

よつて、民訴三九六条、三八四条、四〇七条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 河村又介 裁判官 島 保 裁判官 垂水克己 裁判官 高橋潔 裁判官 石坂修一)

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