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最高裁判所第三小法廷 昭和34年(オ)564号 判決 1960年4月26日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人下山田行雄、同高橋修の上告理由第一について。

記録によると、原審は、所論昭和三三年一二月一七日午前一〇時の口頭弁論期日において、控訴代理人の申出により控訴人(上告人)本人牛尾国子を同三四年三月九日午後一時に尋問する旨決定したが、控訴代理人は同三四年二月五日証拠申請書提出の催告をうけても、なお、該申請書を提出しなかつたし、また同年三月九日午後一時の期日には控訴人本人牛尾国子が出頭しなかつたので、同控訴人の尋問を取消して弁論を終結したことは明らかである。そして、本件の如く、証拠申請書提出の催告に応じないために、呼出ができなかつたような場合には、かりにそれが唯一の証拠方法であつても、その取調をしないで審理を終結しても、違法とはいえない(昭和二八年四月三〇日第一小法廷判決、民集七巻四号四五七頁、昭和二九年一一月五日第二小法廷判決、民集八巻一一号二〇〇七頁参照)。また乙一号証に関する所論は原審において主張判断のない事項に関する主張であつて採用できない。論旨はすべて理由がない。

同第二、同第三について。

原判決の引用する第一審判決の判示するところによれば、本件係争建物の賃貸人は被上告人であり、賃借人は上告人合名会社新米田であることは、当事者間に争のない事実である。したがつて、上告人合名会社新米田と訴外日本セメント株式会社の両者が本件係争建物の連帯賃借人である旨主張し、これを前提とする審理不尽、理由不備、法令違反などの所論は、原判決の認定に副わない事実を前提とする主張であつて、すべて採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高橋潔 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 垂水克己 裁判官 石坂修一)

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