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最高裁判所第三小法廷 昭和36年(オ)508号 判決 1962年8月21日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人飯島安三郎の上告理由について。

北海道旧土人保護法の成立その立法趣旨は論旨のとおりであろう。しかし、旧自作農創設特別措置法は、その第一条にもあるように、耕作者の地位を安定し、その労働の成果を公正に享受させるため自作農を急速且つ広汎に創設することを目的とし、不在地主の小作地及び一定面積以上の在村地主の小作地を全部買収し耕作者に売り渡すことを規定しているのであつて、上述の目的からいつて、その土地が北海道旧土人保護法によつて無償で下付された土地であるからといつて、これを買収から除外すべき理由はない。なお、その法目的遂行上他の一般法益との矛盾衝突を免かれないと認むるものについては自創法五条においてその買収対象から除外すべき農地を決定しているが北海道旧土人保護法に基づいて無償下付した農地については、何等除外例をも規定しなかつた点を考量すれば右保護法が所有者の自由な譲渡を禁じているのは無償で下付された土地であるためであつて、公権力の行使による買収の妨げとなるものではない。右保護法をもつて自創法の特別法と主張する論旨その他の論旨は独自の見解というべく採用の限りでない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 五鬼上堅磐 裁判官 河村又介 裁判官 垂水克己 裁判官 石坂修一 裁判官 横田正俊)

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