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最高裁判所第三小法廷 昭和39年(オ)1410号 判決 1965年11月16日

上告人

株式会社根室東映劇場

右代表者代表取締役

寺島精一

右訴訟代理人

岩沢誠

橘精三

被上告人

春潮楼広雅

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人岩沢誠の上告理由について。

論旨は、手形の振出交付を例にして、「株券の発行」とは、会社が株券を作成し、その株券を何人かに交付することであると解すべきであつて、株券の発行があるといいうるためには、会社が株券を株主に交付することが必要であると解した原判決には、商法二二六条の解釈を誤つた違法がある、という。

しかし、同条にいう株券の発行とは、会社が商法二二五条所定の形式を具備した文書を株主に交付することをいい、株主に交付したとき初めて該文書が株券となるものと解すべきである。したがつて、たとえ会社が前記文書を作成しても、これを株主に交付しない間は、株券たる効力を有しないこというまでもない(大正一一年七月二二日大審院判決、民集一巻四一三頁参照)。これと異なる見解を主張する論旨は、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(下村三郎 五鬼上堅磐 横田正俊 柏原語六 田中二郎)

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