最高裁判所第三小法廷 昭和39年(オ)189号 判決 1964年9月08日
上告人
田熊権次
右訴訟代理人
古賀久仁衛
被上告人
田熊鼎
被上告人
田熊権平
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人古賀久仁衛の上告理由第一点について。
所論は、養子緑組の追認についても民法一一六条但書の規定が適用されることを前提とするものであるが、本件養子縁組の追認のごとき身分行為については、同条但書の規定は類推適用されないものと解するのが相当である。けだし事実関係を重視する身分関係の本質にかんがみ、取引安全のための同条但書の規定をこれに類推適用することは、右本質に反すると考えられるからである。
したがつて、原判決が本件養子縁組の追認について、同条但書の規定を類推適用しなかつたのは、相当というべく、原判決には、所論のような違法はない。
所論は、独自の見解を述べるもので、採用しがたい。
<中略>
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官横田正俊 裁判官柏原語六 田中二郎)
上告理由<省略>