最高裁判所第三小法廷 昭和39年(オ)265号 判決 1964年10月13日
上告人
山口正雄
右訴訟代理人
手代木進
田中平八
被上告人
横田一雄
ほか十一名
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人田中平八の上告理由第一点について。<省略>
同第二点について。
地代家賃統制令は地代家賃の最高限度を規制したものであるから、地代の定めのある賃貸借において、地代が何らの意思表示もなくして統制額の増額に応じその額まで自動的に増額されるものでないとの原判決の判断は、特別の事情の認められない本件においては、当審もこれを正当として是認できる。
そして、原判決の適法に認定したところによると、昭和二三年度の本件各土地の約定地代は年坪五円であり、その後賃貸人たる上告人から賃料増額の請求はなかつたというのであるから、本件各土地の地代は昭和二四年一月から同二八年四月まで年坪五円であるとした上、所論の催告を過大催告で無効であるとした原判決の判断は正当として容認しえないわけではない。
所論は、独自の見解を前提として原判決を論難するに過ぎないから失当として排斥を免れない。
同第三、四点について。<省略>
上告代理人手代木進の上告理由第一点について。
賃借権確認の訴においては、その賃借権を特定しうるかぎり、確認を求める賃借権の内容は、原告において、当事者間の争の態様に応じてこれを定めることができるものと解すべきであつて、所論のごとく、常にその賃料が主文に明示されなければならないものではなく、その記載を欠くからといつて主文が不明確になるものではない。所論は、独自の見解であつて採用のかぎりでない。
同第二、三点について。<省略>
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官横田正俊 裁判官石坂修一 五鬼上堅磐 柏原語六 田中二郎)