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最高裁判所第三小法廷 昭和40年(オ)1185号 判決 1966年10月04日

上告人(被告・控訴人) 長栄良一

上告人(被告・控訴人) 渡辺喜久雄

右両名訴訟代理人弁護士 大川修造

被上告人(原告・被控訴人)

株式会社徳陽相互銀行

右訴訟代理人弁護士 三島保

同 三島卓郎

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人大川修造の上告理由について。

原判決挙示の事実関係のもとにおいては、上告人らに民法一一〇条に基づく責任があるとした原判決の判断説示は肯認できるところであり、被上告人銀行が上告人らにつき本件代理権付与の事実ありや否やを調査しなかったとしても、いまだ、民法一一〇条所定の正当理由の認定を左右する特別の事情とは解しがたく、代理権ありと信ずるにつき被上告人銀行に過失があるとすることはできない。原判決を通読すれば、右特別事情、被上告人銀行の過失の有無について原判決は右と同旨の判断をしているものと解することができる。なお趣旨は、本件の如く借主たる訴外木村が自己の債務保証をする者の代理人として保証契約を結ぶという場合、いやしくも銀行業を営む被上告人が本人たる上告人らに、その意思を確かめることをしなかったとすれば客観的な取引通念からして被上告人に過失の責あるものとしなければならない旨主張するが、原判決の確定した事実関係のもとでは、上告人らに民法一一〇条に基づく責任があるとした原判決の判断説示の肯認すべきものであること先に判示したとおりであって、所論の場合に被上告人銀行の過失を認むべしとする論旨は独自の見解に帰し採用できない。結局、原判決に判断違説等所論の違法はなく、論旨は、原判決を正解しないか、独自の見解に立って原判決を非難するに帰し、採るを得ない。<以下省略>

(裁判長裁判官 柏原語六 裁判官 五鬼上堅磐 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎)

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