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最高裁判所第三小法廷 昭和42年(オ)1110号 判決 1968年4月23日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人村田継男の上告理由について。

原判決(その訂正・引用する第一審判決を含む。以下同じ。)挙示の証拠に照らせば、本件約束手形が原判示の認める限度においていわゆる見せ手形にしかすぎず、したがつて振出人たる被上告人は受取人たる上告人に対しその手形金の支払義務がないとした原審の判断は正当である。また、所論の甲六号証が原判示のようにいわゆる見せ証文にすぎず、本件請負工事の代金が、結局、小計金一〇一万円であるとする原判決の事実判断も、正当として肯認しえないわけではない。

原判決には所論のような違法はない(所論中、弁論主義違反の違法をいう部分もあるが、被上告人の主張は、要するに、本件手形について手形当事者たる上告人との間に手形金の支払義務がないことを述べているのであり、その手形をたまたま融通手形であると主張したのに対し「見せ手形」として支払義務がないと判示したからといつて、弁論主義に違反するものではない。)。所論は、結局、原審の専権に属する証拠の取捨・選択、事実の認定を非難するかまたは原審の認定しない事実を前提として原判決を非難するに帰し、採用しがたい。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 横田正俊 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 松本正雄 裁判官 飯村義美)

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