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最高裁判所第三小法廷 昭和43年(ク)145号 決定 1968年9月03日

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人らの負担とする。

理由

本件抗告理由は、要するに、いわゆる賃金の仮払いを命ずる仮処分判決に対する控訴に伴い、民訴法五一二条、五〇〇条の規定を準用してその執行を停止することは、憲法二五条、二八条、三二条に違反するというにある。

一般に、仮処分決定に対する異議申立てまたは仮処分判決に対する上訴に伴う執行停止の許否については、原則として、これを消極に解すべく、その停止が許されるのは、きわめて例外的な場合に限られるものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところである(当裁判所昭和二三年(マ)第三号同年三月三日第一小法廷決定、民集二巻三号六五頁、昭和二五年(ク)第四三号同年九月二五日大法廷決定、民集四巻九号四三五頁)。したがつて、その許否の判断はとくに慎重なるべきことを要するが、例外的な場合に停止を許すことがそれ自体として憲法に反するものでないことは、右大法廷決定の趣旨に徴して明らかであつて、違憲をいう所論は、その実質において、原決定が執行停止の許否の判断を誤つたという、たんなる法令違背の主張にとどまり、最高裁判所が民事事件の抗告に関して裁判権をもつ民訴法四一九条の二所定の場合に当たらないと認められる。

よつて、本件抗告を不適法として却下し、抗告費用は抗告人らの負担とすべきものとして、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 横田正俊 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 松本正雄 裁判官 飯村義美)

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