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最高裁判所第三小法廷 昭和44年(あ)450号 判決 1970年7月28日

主文

本件上告を棄却する。

理由

一  弁護人北尻得五郎、同松本晶行の上告趣意第一点について。

道路交通法一一九条一項一〇号が憲法三八条一項に違反するものでないとした原判決の判断は、原判決の引用する当裁判所昭和三七年五月二日大法廷判決(刑集一六巻五号四九五頁)の趣旨に照らして相当であるから、所論は、理由がない。

二  同第二点について。

所論は、憲法三一条違反をいうが、その実質は、単なる法令違反の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない(道路交通法一一九条一項一〇号の罪の成立に必要な事実の認識は、必ずしも確定的な認識であることを要せず、未必的な認識でも足りると解すべきである。当裁判所昭和四〇年一〇月二七日大法廷判決・刑集一九巻七号七七三頁参照。)。

三  同第三点について。

所論は、量刑不当の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。なお、記録を調べても、同法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって、同法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 松本正雄 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 飯村義美 裁判官 関根小郷)

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