最高裁判所第三小法廷 昭和45年(し)5号 決定 1970年2月13日
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告の趣意中、控訴趣意書差出最終日を徒過したことを理由としてされた控訴棄却の決定に対する異議申立に対し、右最終日指定の後に弁護人選任届が差し出された弁護人に対してあらためて同最終日が通知されなかったのは違法でないとして、右異議申立を棄却した原決定は、憲法三二条、一三条に違反し、申立人の裁判を受ける権利を奪ったものであるというものであるという点については、弁護人の過失の有無を問わず、申立人の責に帰すべき事由により上訴期間を徒過したときは上訴権回復の請求権がないものとしても違憲でないことは、昭和二五年四月二一日大法廷決定(刑集四巻四号六七五頁)に照らし明らかであって、この理は、趣意書差出最終日を徒過した場合にもあてはまるのであり、右大法廷決定の趣旨に鑑みれば、論旨は理由がない。抗告趣意中その余の点は、単なる法令違反の主張であって、特別抗告適法の理由にあたらない。
よって、刑訴法四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 松本正雄 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 飯村義美 裁判官 関根小郷)