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最高裁判所第三小法廷 昭和45年(オ)241号 判決 1970年5月19日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人土井一夫の上告理由について。

買収農地の売渡しを受けてこれを耕作している者は、当該売渡処分が当然無効である場合においても、特段の事情のないかぎり、その占有のはじめ、善意・無過失であつたと認めるのが相当であることは、所論引用の当裁判所の判例の示すところであり、この理は、本件の如き自作農創設特別措置法一五条に基づく宅地の買収において、その買収計画に原審認定の如き取消原因が存した場合においても異なるところはないというべきである。そして、本件において、所論売渡処分がされた経緯について原審の確定した諸般の事情のもとにおいては、被上告人中小路および同馬場において、その占有のはじめ悪意または過失を推認しうる特段の事情があるとはいえないとする原審の判断は相当である。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、五九条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 松本正雄 裁判官 飯村義美 裁判官 関根小郷)

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