最高裁判所第三小法廷 昭和46年(オ)1177号 判決 1972年4月25日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人小倉一之の上告理由について。
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし是認することができ、その認定判断の過程に所論の違法はない。そして、原審が適法に確定した事実関係によれば、上告人は、被上告人らの先代石川守義に対し、本件金員が賭博の用に供されるものであることを知りながら、これを貸与したものであるというのであるから、本件消費貸借契約は公序良俗に反し無効であることが明らかである。したがつて、上告人は石川守義の相続人である被上告人らに対し右貸金の返還を請求することはできないものというべきであり、結論においてこれと同旨に帰する原審の判断は相当である。所論は、原審の認定にそわない事実関係に基づいて原判決の違法をいうものであつて、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 関根小郷 裁判官 天野武一 裁判官 坂本吉勝)