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最高裁判所第三小法廷 昭和47年(オ)334号 判決 1975年7月15日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人藤井正章の上告理由第一点、第二点について。

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決(その引用する一審判決を含む。)挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同第三点について。

商品取引所の先物取引に関する委託者の仲買人に対する商品の売付け又は買付けの委託はその反対売買による利益の収受等を目的とするものであるから、右委託契約は反対売買等により取引が終了するまで継続しているものというべきである。したがつて、商品買付けの委託を受けた以上、右取引終了まで受託者である仲買人は、委託者より右商品について売却の指図があれば、これに従つて商品を売却する義務を負うのであり、受託者において右指図を承諾して初めて同人の右義務が発生するものではない。所論は右と異なる見解に立つて原判決を非難するものにすぎず、論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 江里口清雄 裁判官 関根小郷 裁判官 天野武一 裁判官 坂本吉勝 裁判官 高辻正己)

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