最高裁判所第三小法廷 昭和51年(オ)116号 判決 1976年12月21日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告人の上告理由について
原審が適法に確定したところによると、破産者は建設業法上の建設業者たりえず、被上告協会の会員たりうる資格を有しないところ、上告人の被上告協会に対する本件除名決議無効確認請求訴訟が係属中に、上告人は破産宣告を受けて建設業者でなくなつたというのであるから、右事実関係のもとにおいては、上告人は、もはや、前記決議の無効確認を求めることによつて被上告協会の会員たる地位を回復するに由ないものというべく、また、上告人が前記決議により被つた損害の賠償を求めるために、あえてその決議の無効確認を求めなければならないものではない。従つて、これと同旨の見解に立ち、本訴は訴の利益を欠くとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 環 昌一 裁判官 天野武一 裁判官 江里口清雄 裁判官 高辻正己 裁判官 服部高顕)