最高裁判所第三小法廷 昭和52年(オ)1239号 判決 1978年2月21日
上告人 志村幸司(仮名)
被上告人 志村みつよ(仮名)
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人大津権作の上告理由について
裁判上の離婚を請求する者はこれに付帯して離婚に基づく損害賠償及び財産分与の双方を併合して請求することを妨げず、その場合には裁判所は財産分与額を定めるにつき損害賠償の点をその要素として考慮することができなくなるにすぎないものと解するのが、相当である。これと同旨の見地に立つて上告人に慰藉料として二〇〇万円、財産分与として三〇〇万円の支払を命じた原審の認定判断は、その確定した本件事実関係のもとにおいて正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 江里口清雄 裁判官 天野武一 高辻正己 服部高顯 環昌一)