最高裁判所第三小法廷 昭和52年(行ツ)3号 判決 1977年4月19日
和歌山西牟婁郡白浜町三三四〇-二六
上告人
尾崎茂
右訴訟代理人弁護士
平井勝也
和歌山県田辺市上屋敷町一一四番地
被上告人
田辺税務署長
吉田和男
右指定代理人
奥原満雄
右当事者間の大阪高等裁判所昭和五〇年(行コ)第三三号所得税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分に対する審査請求棄却決定の取消請求事件について、同裁判所が昭和五一年一〇月一四日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があつた。よつて、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人平井勝也の上告理由について。
所論の点に関する原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 天野武一 裁判官 江里口清雄 裁判官 高辻正己 裁判官 服部高顕 裁判官 環昌一)
(昭和五二年(行ツ)第三号 上告人 尾崎茂)
上告代理人平井勝也の上告理由
第一点 原判決は原判決に影響を及ぼす法律の解釈の誤りがある。
一、原判決は上告人が必要経費として主張するものを控除しなければ実質課税の原則に反し、又、二重課税となるとの主張に対し、
(1) 上告人が土地譲渡の主体であるから所得が上告人に帰属するとして取扱うのは当然である。
(2) 支払利息の大部分が昭和三九年度分の収入に対応する費用として認められないのは収入と費用の対応の原則上当然である。
として、その主張を認めなかつた。
二、しかし、譲渡の主体に所得が帰属することは当然であるが、その所得から必要経費、特に土地取得金の譲渡までの支払利息を控除できないと言うところに所得なければ課税なしの税法の実質課税の原則違反があり、又、一方、支払利息を受領している者に、その所得税を課税しておきながら、譲渡主体の所得から支払利息を控除しなければ、譲渡主体は支払利息分にまで課税され、支払利息分については二重課税となること明白である。
三、よつて原判決の右法律解釈の誤りは原判決に影響を及ぼすこと明白であるので破棄さるべきである。
以上